たまに無性に食べたくなるものの一つが魚肉ソーセージ。とはいえ、コンビニで見かけたものをなんとなくカゴに入れているだけという人も多いのではないだろうか? そこで、ソーセージ仲間と色々なソーセージを食べ比べて「この魚肉ソーセージがすごい」を発行した「版元ひとり」主宰の臼井総理に話を聞いてみた。




○まずは定番のものから

――ソーセージというと、子どもがおやつに食べる細長いソーセージのイメージなのですが……
「もちろん、それもありますよ。でも実は様々な種類の魚肉ソーセージがあって、ここ数年は健康をウリにしたものも多く販売されています。高齢者のことを考えて開発されたものもあります」
ということで、まずは健康志向の方に人気のソーセージから。



●マルハニチロ「リサーラソーセージ」

トクホのソーセージ。DHAは肝臓での中性脂肪の合成を抑えて、血液中の中性脂肪を低下させるという。「リサーラ」は、食べ続けると血液中の中性脂肪が下がることから、「サラサラな血を取り戻していただきたい」という願いを込めてネーミングしたとのこと(マルハニチロのサイトより)。リサーラソーセージのコンソメ味も発売中。

●ニッスイ「おさかなのソーセージ」

こちらもトクホの商品。
「ソーセージにマヨネーズをつけて食べると美味しいけど、このソーセージはとりわけマヨネーズと合います。つけずに食べると少しぼそぼそとした食感がありますが、マヨネーズをつけたとたんに補完され、魚の旨味が立ち上がってきます」

――(マヨネーズをつけて食べたあとで)うんうん。非常によく分かります。
「そのまま食べても美味しいですが、忘れずにマヨネーズを用意しておくことをおすすめします」

○ここからはちょっと変わったソーセージを。

●フジミツ株式会社「まぐろ&いわしソーセージ」


「この魚肉ソーセージがすごい」(「版元ひとり」より)

フジミツは山口県長門市にある会社で明治20年創業。
「練り物を中心に製造する食品メーカーです。同社のいわしソーセージは鰯を製品の中で30%も使っていることもあって、鰯の味と香りがしっかり残っています。上品でハイレベルな魚肉ソーセージです」
フジミツはまぐろを製品中15パーセント使用した「まぐろソーセージ」も製造している。

●ケンコーフーズ「新鮮おさかなソーセージ」

「日本海で水揚げされた鮮魚と、北海道で捕れたスケソウダラなどを混ぜて作ったソーセージ。原材料が微妙に他の製品と異なるためか、香りもほかのソーセージとはちょっと違います。食感は魚肉ソーセージですが、味はやや甘めです」
保存料・化学調味料を一切使用していないところもウリの一つだ。

●フードリエ「それいけ!アンパンマン お魚で作ったソーセージ」


――子ども向けソーセージ+アンパンマンということで、子ども向けソーセージの王道まっしぐらという感じですね。
「やさしい味に仕上げましたとあります。でも、ちゃんと魚の味はするんですよ」
確かに子ども用ソーセージとはいえ、「魚肉ソーセージ感」はある。

子ども用のソーセージはメーカーによって魚肉ソーセージと獣肉ソーセージとに分かれている。一例を挙げると、ニッスイの「妖怪ウォッチソーセージ」「おさかなだいすき! しまじろう こどもソーセージ」は魚肉ソーセージ、丸大食品「妖怪ウォッチ カルパス伊藤ハム」は獣肉(ドライソーセージ)、「ハローキティLOVEKITTY ソーセージ」は獣肉ソーセージである。冷静に考えれば当たり前の話だが、子どもの頃はキャラクターやおまけの内容だけで選んでいたような気がする。ちなみに、「妖怪ウォッチソーセージ」には、ニッスイオリジナル「あつめてみヨーカイ?レアシール」(全30種)がもれなく1枚付いているとのこと。「30種類全部欲しい」などと言い出したら財布がすっからかんである。子どもを魅了させるジバニャン、恐ろしいぞ。※ちなみに、今回購入した製品に入っていた妖怪は「キズナース」でした。

「お金を出すのは親なので『塩分カット』『アレルゲン排除』など、子どもに食べさせても安心そうなウリが書かれてあります」
改めて見ると「卵を使っていません」「カルシウム豊富です」といった言葉が並ぶ。大人になって改めて見ると大事なポイントである。


「この魚肉ソーセージがすごい」(「版元ひとり」より)

●丸善「ホモソーセージ」


丸善は上野に本社を構えていて、チーかま、おつまみかまぼこ、おでんなど、様々な商品を製造している。

――どうしても「ホモ」の意味が気になりますよね。
「丸善のホームページにも明記されていますが『ホモソーセージ』の『ホモ』は、英単語の"homogenized"「均一する」からとったものです。 これは、丸善の魚のすり身を全体が均質になるよう、よく混ぜ合わせた生地を使用していることから『ホモ』という言葉を使っています。太さは3種類あります」

――個人的には太めのソーセージがお気に入りです。かぶりつく感じがして、食べ応えがありますよね。
「いいですね。料理に合わせて使い分けることができますし」

●ニッスイ「魚屋のおつまみするめ」


せっかくなので筆者からも推薦を。こちらのニッスイ「魚屋のおつまみするめ」は国産するめが9%入っている。大きな字で「するめ」と書いてある上、オレンジ色のパッケージが多いソーセージコーナーで、やや浮いた存在だ。一見、ウインナーとは分からない。京都伏見の老舗香辛料メーカー「甘利香辛食品」調合のこだわりの七味唐辛子を使用しているのでピリ辛。こちらもおすすめ。

変わったソーセージといえば、歯茎でつぶせる柔らかさをウリにしたソーセージもある。

●林兼産業「ニューソーセージ 白身魚」


林兼産業「ニューソーセージ 白身魚」(「この魚肉ソーセージがすごい!」(版元ひとり)より

一般の魚肉ソーセージに比べて、固さは約1/4(メーカー分析)、塩分は約1/2(100グラム当たりメーカー分析、「五訂増補日本食品標準成分表」魚肉ソーセージと比較)。

――歯茎でつぶせるということは、要するに噛む力の弱くなった高齢者でも食べられるということですね。
「そうなんです。魚肉ソーセージとは思えない不思議な食感ですね。そのまま食べても美味しいのですが、常温で食べるよりも、あんかけなどの料理に使うのもおすすめです」

食べ方の話が出たが、実はギョニソの食べ方は東西で異なる傾向があるという。東日本はおやつやおつまみとして“そのまま”食べる(かじる)ケースが多い一方、西日本では焼いたり炒めたり、サラダやお弁当のおかずにと“調理”するのがスタンダードだという(マルハニチロの調査結果より)。「ギョニソ」の世界は奥が深い。
(取材・文/やきそばかおる)

●オフィシャルサイト「版元ひとり」


数々の魚肉ソーセージを食べ比べた『この魚肉ソーセージがすごい!?』は、東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケット89」の2日目(12月30日)西め18a「版元ひとり」のブースにて頒布される(イベント頒布価格1000円)ほか、年始からは一部同人誌書店での委託頒布も検討中とのこと。11人のイラストレーター&3人のモデルが競演。シリーズ史上最厚の表紙込み72ページ。