日曜日の夕方には、アニメ『ちびまる子ちゃん』を見ていた人、いまでも子どもと一緒に見ている人は多いのでは? 『ちびまる子ちゃん』は1990年から放送開始されているご長寿アニメ。小学校3年生のまる子を主人公に、家族や友だちのほのぼのとした日常を、おもしろおかしく、ときに切なく描いている。

そんな『ちびまる子ちゃん』の舞台を再現したミュージアムが、静岡市清水区にある。その名も「ちびまる子ちゃんランド」だ。清水といえば、ちびまる子ちゃんのモデルであり、作者のさくらももこ先生の故郷でもある。



「ちびまる子ちゃんランド」は、清水港にある複合型テーアパーク「エスパルスドリームプラザ」内に1999年にオープンした。その後、2008年にリニューアルオープンしてさらにパワーアップ。近年は、アジアからのファンが殺到しており、2014年には1万6500人が来館。さらに、2015年は3万2000人の来場者突破が確実視されているという。なぜ、このスポットがアジアの観光客にウケているのか? 実際に現地に行って話を聞いてきた。

「中国のお客様がとても増えています。台湾の方も多く、中国と台湾で外国人来館者の約9割、日本人を含めた全体では約3割を占めます。とくに多いのは夏休みや春節の時期ですね」というのは「ちびまる子ちゃんランド」が入っている「エスパルスドリームプラザ」を運営する株式会社ドリームプラザの社長、大井一郎さん。



実はアニメ『ちびまる子ちゃん』は海外でも放送されており、絶大な人気をほこっている。台湾では、日本での放送開始の4年後である1994年にアニメ放送がスタート。その後、東アジア圏でも順次放送がはじまった。2015年はちょうどアニメ化25周年にあたり、台北・高雄・上海では記念イベントも開かれた。どれも盛況で上海のイベントには約6万人が集まったという。

昨今、インバウンド市場が活況だが、同施設でもインバウンド対応には積極的に取り組んでいる。「ちびまる子ちゃんランド」では、パンフレットは中国語2種類(簡体字と繁体字)、英語を用意。団体予約があれば、着ぐるみのまる子たちが出迎える。ときには、海外の博覧会にまる子をつれていき、プロモーションをすることもあるそうだ。



「"ちびまる子ちゃんランド"を中心に、エスパルスドリームプラザのインバウンド対応を進めています。中国人がよく使う銀聯カードはほとんどの店舗で使えます。外国語表記のメニューも用意し、Wi-Fiも設置しています」と大井さん。

「ちびまる子ちゃんランド」を訪れる外国人来館者にとくに人気なのは、写真撮影。衣装をきて、キャラクターになりきって写真を撮っているそうだ。またここでしか買えないオリジナルグッズを買い求める人も多いという。



ちなみに台湾のお客さんの約8割は富士山静岡空港を利用しているという。つまり、静岡をメインの目的地としてやってきているわけだ。静岡市には、世界文化遺産登録された「三保松原」や国宝の「久能山東照宮」など見どころも多い。また、桜えびのような名物グルメもある。桜えびは、春(3月中旬〜6月初旬)と秋(10月下旬〜12月下旬)の桜えび漁期中には、水揚げされたばかりの生桜えびを食べることもできる。




このように「ちびまる子ちゃんランド」以外にも静岡市内にみどころやお楽しみが多いことも、外国人来館者の増加を後押ししているのだろう。ちなみに最近は、団体ではなく個人で動く旅行者も増加中。新静岡駅〜新清水駅間を結ぶ11kmの静岡鉄道を走っているちびまる子ちゃんのラッピング電車も人気だとか。

「エスパルスドリームプラザ」全体に占める外国人観光客の割合はまだ1〜2%だというから、今後伸びる余地はぞんぶんにありそうだ。筆者も『ちびまる子ちゃん』を子どものころから楽しんだ世代。懐かしい気分で楽しめた。


(古屋江美子)