結婚式という自分たちにとって人生で最も特別な日に、他人に尽くすことを選んだトルコ人カップルが海外で話題になっています。

難民キャンプに寄付

24歳の新郎フェトゥーラさんと20歳の新婦エスラさんは、ホームタウンであるトルコのキルズで結婚式を挙げ、誓いを交わした後、トルコのチャリティ団体「キムセヨクム」を通じて、4,000人ものシリア難民のいる難民キャンプへと向かいました。「キムセヨクム」はシリア内戦から逃げてきたシリア難民たちに食事を提供してきており、彼らが最低限の生活ができるように尽力しています。

2人は結婚式の予算の一部をチャリティに分配することに決めました。結婚式のゲストたちを従え、結婚式の衣装のままキャンプ地に到着し、食事をシリア難民たちに分配したのです。

他人を幸せにすることで自分たちが幸せになる

このアイディアを思いついたのは新郎の父親でした。トルコの伝統的な結婚式は、豪勢な宴会を楽しむ前夜祭と次の日の披露宴とで2日かけて行います。しかし、彼はこの方法はふさわしくないと考え、食事をシリア難民に提供するアイディアを思いついたんだそう。

「家族や友人たちが大量の豪華なディナーをシェアすることは必要ではない。すぐ隣の国に、数多くの食料を必要としている人々がいる。このアイディアをすぐに受け入れ、エスラさんとともに利己主義ではない行動をした息子を持てて幸せに思う」と語っています。

フェトゥーラさんは、子どもたちが喜ぶ姿に特に感動し、食事を配給している時間が結婚式の日の中で最高の時間だったと感じたそう。エスラさんも素晴らしい経験ができたと同じように感激し、2人は他人を幸せにすることで自分たちが幸せになる人生の旅を始めました。

シリアの難民危機は、戦後最悪の状況

2011年からいまだに続いているシリア内戦(シリア騒乱)では、果てしない数の一般市民が自分の家から離れることを余儀なくされているという現状があります。国連によると、難民危機は第二次世界大戦以来、世界最悪の状態であることが報告されており、2015年の終わりには、国外へ避難する難民の数は427万人にまで達すると予測されています。

国外避難となると、避難先の国の負担も大きくなることが問題視されており、最も受け入れているレバノンでは、国民の約5人に1人がシリア難民という状況と言われています。国や行政の支援には経済的にも限界がありますが、民間のこうした小さな動きが世界中に波及していけば、大きな難民救済になっていくのかもしれません。

参考記事:Oddity Central

(石狩ジュンコ)