中国戦で見るべきテーマ…ハリルの狙いと選手たちのパフォーマンスはいかに

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文=青山知雄

 優勝なき最終戦。ハリルの狙いはどこにあるのか、そして選手たちはいかなるパフォーマンスを見せてくれるのか。

 第2戦終了時点で連覇の可能性が潰えたEAFF東アジアカップ2015。日本代表は8日、中国代表との第3戦を控え、中国・武漢市内で前日練習を実施し、グラウンド到着後に突然の非公開練習を希望したヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、練習後のメディア対応で「明日も新しい選手を使う可能性がある」とメンバーの入れ替えを示唆した。

 すでに優勝の可能性がなくなった中国戦で何をテストし、確認するべきなのか。新戦力の起用をほのめかした彼の言葉を受け、朝鮮民主主義人民共和国代表、韓国代表との2試合を振り返ると、3試合目のメンバーやテーマが見えてくる。

 ここまで出番のない選手は、GK東口順昭(ガンバ大阪)と六反勇治(ベガルタ仙台)、センターバックの水本裕貴(サンフレッチェ広島)と丹羽大輝(G大阪)、右サイドバック米倉恒貴(G大阪)とボランチ米本拓司(FC東京)の6人。その一方でGK西川周作(浦和レッズ)、センターバックの槙野智章(浦和)と森重真人(FC東京)、右サイドバックの遠藤航(湘南ベルマーレ)、山口蛍(セレッソ大阪)の5選手が2試合にフル出場していた。彼らのポジションを詳しく見ていくと、フル出場組と未出場メンバーのポジションが重なっていることが分かる(ハリルホジッチ監督は1ポジション2人制をベースにしているので必然でもある)。そう考えると、守備陣〜ボランチで選手の入れ替えが起こる可能性が高そうだ(水本はハリル政権下でアンカーでの出場実績あり)。

 朝鮮民主主義人民共和国代表との初戦は、過密日程と移動で疲弊した状態の選手たちが縦一本やりになって逆転負けを喫した。韓国代表との2戦目はバランスを見ながらピッチ内でブロックラインの高さやプラスを仕掛けるタイミングを判断するなど、守備面で手応えをつかんだ。それを踏まえた中国代表との3戦目は、守備の良さを崩さないまま、いかに攻撃で形を作れるかがポイントになると言っていい。

 朝鮮民主主義人民共和国との初戦で日本代表デビューを飾った武藤雄樹(浦和)は、「(監督は)『守備は良かった』と言っていたので、そこは崩してはいけない。あとは攻撃の部分が課題になってくると思う。速撃と遅攻をうまく合わせながらできれば、もっといいサッカーになる。監督は速いサッカーを目指しているので、そこを出していければ」とコメント。また、ハリルスタイルを知る宇佐美貴史(G大阪)は「ボールを保持しながらゆっくり攻めていくシーンが多くなると思う。その中で自分のアイディアとかプレーの質を出せるようにしたい」と個の力を融合させていくことを誓っていた。

 サッカーは監督が求めることだけをやればいいスポーツではなく、ピッチ内での判断や臨機応変さがあってことのもの。2戦目は重に守備面でチームとしての成長を感じることができた。そこからの進化を確認し、武藤や宇佐美が語るようにチームとしてコンセンサスを取り、その中で各選手が自分の持ち味を出していけるかを見ていきたいところだ。

 中国戦前日の非公開練習後、ハリルホジッチ監督も「10分、15分の練習で本当にたくさんのことを伝えなければならない。もちろんそれはできません。タクティクスの練習をするには数カ月かかる」と戦術面での拙さが出ることにエクスキューズを残した一方、「フィジカル的には少し回復した。彼らはしっかりと気候に対応し、疲労回復に努めてきた。いい試合をして勝つためのトライをしたい」と状態の良化について触れた。また、武藤も「1日、2日やったくらいですぐに素晴らしいサッカーをするのは難しい」と話しつつ、「3試合目で良くなっていくんじゃないかと思いますし、それを見せなければいけない」と強い口調で語っている。