英国の日本イベント「ハイパージャパン」では絵馬や干支も好評だった!

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イギリスとフランスの日本ファンにとって、7月はもっとも大切な時期だ。なぜならパリでは「Japan Expo(ジャパンエキスポ)」が、ロンドンでは「HYPER JAPAN(ハイパージャパン)」という日本イベントが開催されるからだ。今年、前者は7月1日から4日間、後者は7月10日から3日間の日程で開かれた。どちらも漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ファション、伝統文化などを中心に扱っている。

まだ発展途上? ロンドンのイベント


パリのジャパンエキスポは、パリ北郊外・ヴィルパント展示会会場で行われ、今年で16回を数える。1999年に3人のフランス人発起人により始められ、今や欧州最大の日本カルチャーイベントに育った。
一方、ハイパージャパンは今回で8回目。ロンドンに本社を構える現地日系企業クロスメディア社により、ジャパンエキスポを追随する形で始まった。以前は年1回の開催だったが、現在は夏と冬の年2回開催に増え、今夏はロンドン東部の多目的アリーナO2(オーツー)で催された。

両方のイベントを比べた時、大規模に成長したジャパンエキスポと比べ、ハイパージャパンはまだ発展途上にある。イギリス内の日本への関心も、フランスと比べればこれからだ。ハイパージャパンはどのような方向で盛り上がっているのだろうか? 

日本酒とアニメ ロンドンで人気?


近年、日本は「和食」を世界に売り出していこうとしているが、じつはハイパージャパンを組織するクロスメディア社は、出版社として以前から、イギリスで日本の食を紹介する仕事を続けていた。これはハイパージャパンにも表れていて、会場内は食に関係したブースの割合が多い。中でも約30種類の日本酒の試飲・販売が行われる「Sake Experience」は、入場料とは別途料金がかかるものの、毎回多くの人を集める。

もちろん、日本のアニメ、漫画、ゲームファンも多く集まる。任天堂とバンダイナムコエンターテインメントによるゲーム体験ブースや、ゲストとしてアニメ『名探偵コナン』プロデューサーの諏訪道彦氏、『シドニアの騎士』監督の静野孔文氏、スタジオジブリで『となりのトトロ』などに携わり現在はホラー作品をはじめとした創作活動を行う作家・アニメーターの木原浩勝氏などが訪れ、ファンとの交流を図った。クロスメディア社によれば、フランスと比較してイギリスでのアニメ・漫画市場はまだ発展途上だというが、それでも安定した人気を見せている。

干支に馴染みがないイギリス人


日本の大学との連携もハイパージャパンの特徴だ。女子美術大学が出展したブースでは、似顔絵描きや学生の作品を展示・販売を行い、学生自らが現地の人々とコミュニケーションを取り、交流を深める。特に似顔絵書きや絵馬の評判が良いそうだ。イギリス人は干支に馴染みがないため、誕生年の干支を調べると、喜ぶ来場者が多いという。

一方で日本のアイドルやJ-POPの認知度は高いとは言えない。ロックバンドX JAPANのYOSHIKIとToshiのライブには多くの人々が詰めかけてさすがの貫禄を見せたものの、全体的には今後の可能性を残した内容だった。

今回8万人超となった来場者の興味は、食とアニメ、漫画、ゲームが主な柱で、そこに伝統文化やファッション、その他のポップカルチャーが追随するといった印象だ。英国での日本イベントはジャパンエキスポのように成長するのだろうか。ハイパージャパンのさらなる展開が楽しみだ。
(加藤亨延)