ハーゲンダッツのアイスクリームに使われている高品質な牛乳の産地は、北海道の浜中町 !!
ゴールデンウィークが過ぎ、初夏を感じる季節となりました。気温が上がると食べたくなるのがアイスクリーム!! 5月9日は「アイスクリームの日」です。最近はさまざまなアイスクリームが売られていますが、高級アイスクリームといって、まず思い浮かぶのが、ハーゲンダッツ。ハーゲンダッツでは高品質のアイスクリームを生産するために、原料の牛乳には特にこだわっています。その牛乳を生産しているのが北海道の浜中町。浜中町の広大な敷地の牧場では、乳牛が徹底的に科学的に管理され、ワンランク上の牛乳が作られています。
夏は霧が多い町。農協の酪農技術センターで乳牛を徹底的にデータ管理。高品質の牛乳を目指す。
北海道厚岸郡(あっけしぐん)の浜中町は、釧路の東、根室の西に位置しています。霧多布(きりたっぷ)湿原を有し、夏は濃霧が発生しやすく、気温は25℃を超える日がほとんどありません。海に面した町ですが、内陸部では酪農がさかんで、人口約7,000人に対し、乳牛は2万頭を超えるという、まさに酪農王国です。
浜中町では夏に海の霧が入り込み、気温が低く、牧草の成長にとって厳しい環境でした。そこで、乳牛にとって理想的な牧草が育つ土壌にするために、長い年月をかけて土壌の研究と改良を行い、現在も定期的に土壌のチェックを行っています。牧草は無農薬で、成分として、海からのミネラル分などが霧とともに牧草地に降り注ぐのも特徴です。
1981年、浜中町農協は酪農技術センターを開設しました。そして、農協としては唯一、あらゆる部門をネットワーク化し、生乳の生産に関するすべての情報をデータとして蓄積しています。また、乳牛を1頭1頭、徹底的にデータ管理しているのですが、それがとてもきめ細やかで、たとえば、それぞれの乳牛の体調に合わせて飼料の調整をしたり、牛乳の成分を左右する牧草や土壌の成分も管理しているという徹底ぶりです。
浜中町の牧場。広大な敷地で放牧され、ストレスのない牛がのびのびと育つ。
土壌改良、牧草の成分分析、1頭1頭の管理…。長い時間をかけた研究で、おいしいアイスクリームが。
ハーゲンダッツは1961年にアメリカ・ニューヨークで誕生したアイスクリームの会社で、1984年にハーゲンダッツ ジャパンが設立されました。設立時、アメリカから来た技術者が、各地にあるタカナシの牛乳工場の中で、迷うことなく選んだのが浜中町でした。当時、アメリカのようにデータ管理された牛乳が、浜中町以外にはなかったのです。
ハーゲンダッツ ジャパンでは、アイスクリームの主原料として使われる牛乳を得るために、まず土壌作りから始めました。アイスクリームの生命である牛乳を良質なものとするためには、乳牛が食べる牧草が重要です。その牧草を育てる土壌を理想的なものにするために、気の遠くなるような時間をかけて、土壌改良を行いました。また、1頭1頭の乳牛の健康を管理して、高品質の牛乳が常に安定して供給されるようにしています。
このように、酪農家と企業と農協の努力で、私たちはいつも、ハーゲンダッツのアイスクリームをおいしく食べることができるのです。
タカナシ乳業の 「特選・北海道4.0牛乳」 。成分無調整で乳脂肪分4.0%を商品化した努力
タカナシ乳業は、北海道の根釧地区や岩手県の葛巻町を生産地とする、高品質な牛乳で知られていますが、牛乳だけでも10種類以上の商品があります。その中で、浜中町の生乳だけで作られているのが、「特選・北海道4.0牛乳」。商品名の4.0は乳脂肪分の数値のこと。何も加えず、成分無調整の牛乳だけで乳脂肪分を4.0%に保つには、大変な努力がありました。
タカナシ乳業は、もともとは牧場の経営から始まっているので、牛を見る目が確かでした。当時の社長が、浜中町の酪農技術センターで管理されていた乳牛のデータを1頭ごとに見ていて、ときどき乳脂肪分が4.0%以上の牛があらわれるのに気づきました。普通の牛乳の乳脂肪分はせいぜい3.7%ほどですが、4.0%の牛だけから牛乳を集めれば、何も加えない成分無調整でも、4.0%の牛乳ができる、と思いついたのです。
そこで、4.0%用の冷蔵タンクとタンクローリーを新たに用意し、普通の牛乳と分けて保存しました。農家にも農協にも大きな手間と負担でしたが、当時、1リットル350円という高級牛乳(現在は482円)は、どこもまねをすることができない看板商品となり、タカナシ乳業が躍進するきっかけとなりました。この濃い牛乳は、飲料だけでなく、料理用としても広く使われています。
ギフト用の特別な 「カルピス北海道」 は、根釧・浜中地区の牛乳を使用
「カルピス北海道」というカルピスをご存じですか。ギフト用だけに作られた、ちょっと贅沢なカルピスで、北海道産の生乳だけを使用して作られているので、この名がつきました。ボトルやパッケージが金色ベースで、見ためも少し「上を行く」感じです。ギフト用なので、スーパーなどで個別には流通していません。
この「カルピス北海道」には、北海道産の、主に根釧・浜中地区の生乳が使用されていて、普通のカルピスと比べると、甘みとコクが豊富なのが特徴です。普通のカルピスとのセット販売だけで、1本ずつのバラ売りはされていないので、ちょっと手に入りにくいカルピスですが、ここでも浜中町の高品質な牛乳が利用されています。
夏になると牛乳が薄くなりますが(*1)、徹底したデータ管理で、1年中、品質が変わることのない、高品質な牛乳を作り続ける浜中町。食品メーカーからの信頼も厚く、また、4.0%牛乳は多くの有名シェフにも支持されています。そんな浜中町の、長い年月をかけた努力の結晶が、ハーゲンダッツのおいしいアイスクリームへと結びついていることを思いつつ、「アイスクリームの日」にありがたくアイスをいただきたいものです。
*1 ⇒ tenki.jpサプリ 2月3日 「冬になると牛乳が濃くなるってホント!?」 (http://www.tenki.jp/suppl/romisan/2015/02/03/1421.html)〉