4日、東京都世田谷区の東京農業大学「食と農」の博物館で行われた、しょうゆをテーマにした“出前授業”。(撮影:久保田真理)

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東京都世田谷区の東京農業大学「食と農」の博物館で4日、しょうゆをテーマにした“出前授業”(良い食材を伝える会「食材の寺子屋」主催)が開かれ、小学生の親子約80人が参加した。

 今回、授業を行ったのは、“しょうゆもの知り博士”こと水村津与志さん。普段は、日本醤油技術センター(本部・東京都中央区、眞鍋勝理事長)で、JAS規格(日本農林規格)の審査を行っている審査員だ。初めにホットプレートでしょうゆを温め、においからどんな食べ物を想像するか子どもたちに聞いたところ、「焼きおにぎり」「団子」「もんじゃ焼きのおこげ」など積極的に答える子どもが多かった。水村さんが、しょうゆの香り成分は300種類と説明すると、子どもも大人も感心した様子だった。

 次に水村さんは、授業のメーンである「しょうゆの作り方」について、原料となる大豆や小麦を見せながら説明。大豆、小麦、塩、こうじ菌を合わせてできた「もろみ」を見せると、子どもたちからは「みそみたい」「臭い」と大きな声が上がった。また、6カ月寝かせたもろみ、搾りたてのしょうゆ、工場で作られたしょうゆを味見し、味や香りの違いについて感想を述べ合った。水村さんは“出前授業”について、「本物を見せて、触わったり、においをかいでもらうようにしている。体で感じてもらうことが大事」と子どもたちに興味を持ってもらうための工夫を話した。

 授業に参加した同区の主婦(43)は、「醗酵食品に興味があって今回応募した。こうじ菌やもろみなど、家では見せることができないものを子どもに見せることができてよかった」と話し、一緒に参加した小学4年生の男児も、「しょうゆがカビのようなこうじ菌でできているとは知らなかった。勉強になった」と顔を輝かせていた。
 
 “出前授業”を行っているのは、東京都中央区にあるしょうゆ情報センター。今年4月から授業を始め、7月末までに約40カ所で行った。同センター事務局長の小倉克彦さんは、「しょうゆは日本人が生み出した世界に誇る食文化。子どものうちから、“食”へのありがたさを育てたい」と授業に対する期待を語った。【了】

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