後ろは締まる。が、前は緩くなる。攻撃力も鈍る。そうした傾向を持つ「中盤変形ダイヤモンド型4−4−2」を採用するか、従来型で行くか。

 例の柏レイソル戦、サンフレッチェ広島戦ともども、そのデメリットが目立つ試合だった。苦戦の原因そのものと言ってよかった。事実、長谷川監督はそれぞれの試合で、後半、布陣を従来型に戻している。

 3−4−2−1を敷く浦和レッズ戦に、ガンバ大阪の長谷川監督はどんな布陣で臨むのか。それこそが試合前の最大の焦点だった。

「システムの決定には迷いはなかった。1トップ2シャドーの相手をどう抑えるか、ではなく、自分たちのサッカーで臨むことにした」

 試合後、長谷川監督はそう語った。

 ガンバ大阪の今季の総失点は30。この数は決して多くない。リーグ3位だ。対する浦和レッズは29。この試合前までは27で、横浜マリノスと並んでリーグ最少失点だった。浦和レッズは5バックになる時間が多い3−4−2−1。失点が少ないのは、採用する布陣からも理解できる。だが、ガンバ大阪のサッカーは、例外はあるが、基本的には攻撃的だ。世界的に見てオーソドックスなサッカーをする。理に叶ったキチンとした攻めが、キチンとした守りを生んでいる。攻撃的サッカーと効率的サッカーが、同義語であることを証明している。僕にはそう見える。

 逆に浦和レッズは、守備を固めるサッカーを基本としているはずなのに、0−2で敗れてしまった。ファンが納得する、良い負け方とは言えなかった。敗れた時のショックが大きいサッカー。なぜもっとキチンと攻めなかったのかと悔やまれるサッカー。真っ赤に染まる埼スタと、浦和レッズのサッカーはマッチしていないと僕は見る。