野手陣に目を移せば、今季は主力打者の故障欠場が目立った一年だった。DeNAのブランコ(33)、中日の和田一浩(42)、ソフトバンクの本多雄一(29)はケガによる欠場が響き、規定打席に到達することができなかった。

 打率こそ2割8分〜9分と悪くはなかったが、安打数を積み上げることができず、コストパフォーマンスとしてはいささか割高だったために「ワースト」入りしてしまった。こうした状況に活を入れるのは、愛甲氏だ。

「最近は、あっちが痛いこっちが痛いと言って休む選手が多すぎる。元阪神の金本知憲の爪のアカでも煎じて飲ませたいですね」

 球界の御意見番である江本孟紀氏も“戦線離脱組”には手厳しい。

「DeNAと中日がCS出場を逃し、ソフトバンクが終盤もたついた原因の一つは、彼らの欠場です。死球による骨折の和田や本多はまだしも、ブランコのような肉離れは肉体のケアにも問題があったはず。同情する必要はないでしょう。高額な年俸をもらっている選手には、144試合出場できるだけのコンディションを整えておく義務があるんです」

 同じポジションに生きのいい若手が現れ、出場機会を奪われる格好となったのがヤクルトの田中浩康(32)=年俸1億2500万円=と阪神の新井貴浩(37)=年俸2億円=だ。両者とも今季はベンチを温めることが多く、すっかり影が薄くなってしまった。江本氏は新天地への転身を勧める。

「ヤクルトはリーグ最多安打を放った山田哲人(22)を、阪神も捕手からコンバートしてそこそこ結果を出した今成亮太(27)を来季も使っていくでしょう。だったら球団も、田中ならセカンドの手薄なチームに、新井はDHのあるパ・リーグにトレードしてやったほうが経費の削減にもなるし、本人たちのためにもなると思います」

 一方で、「ワーストナイン」の常連でもある阪神の鳥谷敬(33)はやや気の毒だった。セ・リーグの遊撃手は年俸の安い選手が多く、3億円プレーヤーの鳥谷は170安打でも単価が高く出てしまった。