ベビーフェイス坂井達弥のほろ苦い日本代表デビュー「迷わずシンプルにするべきだった」
ハーフタイムになり、うつむいて引き上げてくる坂井達弥へ、川島永嗣と柿谷曜一朗、酒井宏樹が近寄って頭をなでた。日本は34分、坂井のトラップが大きくなったところをエディソン・カバニに奪われ、そのまま失点してしまったのだ(日本 0-2 ウルグアイ)。
真っ青な顔をしながら坂井はミックスゾーンに現れた。
「あっという間でした……。迷わずシンプルにするべきだったと、いま振り返るとそう思います。隙を突くと海外の選手はスピードが上がるので……。内容的には悔しい結果になってしまったので今後につなげて行けたらと……」
本来はおっとりした性格だ。練習も2日目までは「僕はあまりプレッシャー感じないので」と笑ったり、ヨーロッパ組に「いつもメディアで見る人たちがいた」とたわいもなく話していた。だが3日目からは緊張感があらわになり、「今日は確認の中で緊張した。ピッチに立てば大丈夫だと思う」と言うようになっていた。監督からの期待の重さに気付いたからだろう。
「自分がうまくやらないと、ダメだったら監督も非難される」という思いは、この日も溢れていた。5月24日のヤマザキナビスコカップで尹晶煥前監督の信頼を失って以来、ベンチにも入れなかった。その辛い思いは、自分を起用してくれたアギーレ監督への感謝とともにプレッシャーにもなっていた。
今季リーグ戦での出場はわずか5試合でアギーレ監督に選ばれた。代表メンバー発表前の大宮戦では、直前にレギュラーが負傷し、約3カ月ぶりの先発入り。発表直前に原博実専務理事から「坂井って面白いね」と言われたチーム関係者は、まさかそれが代表入りを意味しているとは思わなかったという。
「手応えは……とっさの判断に迷いはあったのですが、1対1やセットしてからのプレーではやられなかったので、そこはよかったと思います。アギーレ監督は『流れの中からはやられなかった』と言ってくれました。『だけどあれはプレゼントだからな』とも言われましたけど」
日本代表のユニフォームに袖を通したことで、初めて自分と他の世界が繋がったことだろう。「いつかは海外にも行きたい」というぼんやりした夢にも、はっきりした道が見えたはずだ。だが、この敗戦で、もしかしたら坂井の代表選出はしばらくないかもしれない。
それでも「左利き・長身・CB」という他にはないプロパティを備え、明るくくじけない坂井なら、もう一度目を付けてもらえる可能性もある。坂井が目を留めてもらった大宮戦も、PKを取られながら、その後逞しい精神力で立ち直ることができたのだから。
【取材・文/日本蹴球合同会社 森雅史】
真っ青な顔をしながら坂井はミックスゾーンに現れた。
「あっという間でした……。迷わずシンプルにするべきだったと、いま振り返るとそう思います。隙を突くと海外の選手はスピードが上がるので……。内容的には悔しい結果になってしまったので今後につなげて行けたらと……」
「自分がうまくやらないと、ダメだったら監督も非難される」という思いは、この日も溢れていた。5月24日のヤマザキナビスコカップで尹晶煥前監督の信頼を失って以来、ベンチにも入れなかった。その辛い思いは、自分を起用してくれたアギーレ監督への感謝とともにプレッシャーにもなっていた。
今季リーグ戦での出場はわずか5試合でアギーレ監督に選ばれた。代表メンバー発表前の大宮戦では、直前にレギュラーが負傷し、約3カ月ぶりの先発入り。発表直前に原博実専務理事から「坂井って面白いね」と言われたチーム関係者は、まさかそれが代表入りを意味しているとは思わなかったという。
「手応えは……とっさの判断に迷いはあったのですが、1対1やセットしてからのプレーではやられなかったので、そこはよかったと思います。アギーレ監督は『流れの中からはやられなかった』と言ってくれました。『だけどあれはプレゼントだからな』とも言われましたけど」
日本代表のユニフォームに袖を通したことで、初めて自分と他の世界が繋がったことだろう。「いつかは海外にも行きたい」というぼんやりした夢にも、はっきりした道が見えたはずだ。だが、この敗戦で、もしかしたら坂井の代表選出はしばらくないかもしれない。
それでも「左利き・長身・CB」という他にはないプロパティを備え、明るくくじけない坂井なら、もう一度目を付けてもらえる可能性もある。坂井が目を留めてもらった大宮戦も、PKを取られながら、その後逞しい精神力で立ち直ることができたのだから。
【取材・文/日本蹴球合同会社 森雅史】
▼ 日本は34分、ウルグアイに先制点を与えてしまった
(撮影/岸本勉・PICSPORT)
(撮影/岸本勉・PICSPORT)
▼ 初陣を飾れなかった、アギーレJAPAN
(撮影/岸本勉・PICSPORT)
(撮影/岸本勉・PICSPORT)
▼ ハビエル・アギーレ監督
(撮影/岸本勉・PICSPORT)
(撮影/岸本勉・PICSPORT)