手羽先の唐揚げを甘辛く味付けした「手羽先」や、トンカツに八丁味噌を合わせる「味噌カツ」、薬味やお茶漬けで風味を変えて食べる名物料理「ひつまぶし」など、独特の食文化で知られている名古屋。オリジナリティに溢れつつも美味しい料理の数々は、全国区でも"名古屋めし"としてすっかり定着しています。

 また、名古屋と言えば「モーニングサービス」も有名。モーニングの時間帯にはコーヒーを注文するだけで、トースト・ゆでたまご等が無料でついてきたり、パンが食べ放題だったり、おにぎりやうどんまで提供するお店もあるのだとか。

 そんな名古屋モーニング文化に愛着を覚える人々から驚きをもって迎えられたニュースが、愛知県名古屋市の「コメダ珈琲店 菊井店」閉店のお知らせでした。熱々のデニッシュパンにソフトクリームを乗せた「シロノワール」をはじめ、「小倉トースト」や「あんかけスパ」等のメニューが知られるコメダ珈琲は、名古屋を飛び出し、今や全国に552店舗も展開している飲食チェーンです。菊井店は、その記念すべき1号店だったため、ファンからは聖地のように扱われていましたが、惜しまれつつも3月31日にその役目を終えました。

 本書『真実の「名古屋論」 トンデモ名古屋論を撃つ』の著者・呉智英さんは、自身が名古屋出身であることから名古屋の実像を伝えるべく、名古屋文化の背景を、歴史的事実をもとに紹介しています。
 例えば、冒頭に挙げたモーニング文化が始まった由来は、愛知県一宮市という説。1970年代初めまで織物産業が盛んだった一宮市には工場が多く、工場勤務の人々がコーヒーと共に軽く朝食をとっていたことから、お店側でパン・ゆでたまごを提供するようになり、現在のモーニングサービスが生まれたというのです。

 本書は、名古屋の喫茶文化はもとより「名古屋めしとは何か」、名古屋についての俗説「名古屋の嫁入りは派手か」等、名古屋の"真実"について、綿密に検証し直した一冊となっています。




【関連リンク】
コメダ珈琲"発祥の地"が閉店、500店舗超構える喫茶チェーンの原点。
http://www.narinari.com/Nd/20140325234.html




『真実の「名古屋論」 トンデモ名古屋論を撃つ (樹林舎叢書)』
 著者:呉 智英
 出版社:人間社
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