対馬から盗まれた仏像「日本に返すべきなの?」 韓国で議論に

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長崎県対馬市の神社や寺から盗まれた仏像2体が韓国内で見つかった問題で、仏像がすんなりと日本に返還されるか分からなくなってきた。

韓国文化財庁は盗難品であることが判明すれば日本に返還するとしているが、同国内からは「我が祖先が制作したものを返す必要があるのか」などと反対する意見が上がっているほか、仏像が制作されたとされる寺が逆に返還を要求し、混乱しているからだ。

SBSニュースは、対馬は「韓国仏教が伝来した代表的な島」と紹介した上で、「仏像は略奪された可能性も捨てきれない」と指摘した。「観音寺の観世音菩薩坐像の内部には1330年に瑞山の浮石寺で制作されたと明記されている。瑞山地域では当時、倭寇の侵略が激しかったという記録がある」などと伝え、本来の所有者は韓国であると強調した。

仏像が制作されたという浮石寺は、日本ではなく自分の寺に返還するよう要求した。浮石寺の信徒会は、「浮石寺の信徒たちはいつも菩薩像が戻ってくるよう願っていた」「わが国の魂と精神がこもった文化遺産が、(日本によって)不当に強奪、流出し、再び戻らなくなるという現実が惜しい」とし、今後は文化財庁などに返還の要求などを行っていく方針を明らかにした。

仏像を韓国内にとどめるには、過去に略奪など違法な手段によって運び出されたことを証明しなければならない。しかし今のところ日本に渡った経緯ははっきりしておらず、関連法を通じて日本に返還されるとみられている。

対馬の仏像盗難事件

韓国人窃盗団は2010年10月、仏像などが保管されている倉庫に屋根から侵入し、盗むと同国南部・釜山港から韓国に運び込んだ。釜山港の関税では審査を受けたが、鑑定官が「100年も経っていない偽物」と判断したことから骨董品扱いとなり難なく通過したという。盗まれたのは、海神神社の国指定の重要文化財「銅造如来立像」と観音寺の長崎県指定の有形文化財「観世音菩薩坐像」。多久頭魂神社の仏教経典「大蔵経」も盗み出したが、犯行後すぐに捨てたという。

韓国の警察は30日、窃盗団が仏像を売りさばこうとしていたとして、文化財保護法違反の疑いで男1人を拘束、4人を書類送検したことを発表した。

参照:SBS

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