■トゥーロン国際大会を終えて
 トゥーロン国際大会が終わりました。鹿島アントラーズからは大迫と山村が派遣されましたが、この大会を終えた段階での現在の二人の立ち位置について、書きたいと思います。柴崎岳もロンドン五輪の出場権を持つ世代なので、柴崎についても記載します。

<大迫 勇也>
 初戦は後半途中まで出場し、惜しいシュートを放つも無得点。前線でボールを収めて貢献しましたが、ゴールを期待される1TOPとしては、得点を挙げられなかった事については、物足りなさが残ります。中一日で迎えたオランダ戦では途中出場を果たしますが、チームの流れに乗れていたとは言い難かったです。迎える最終戦のエジプト戦は、満を持してのスタメン出場とチームを準決勝へと導くゴールが期待されましたが、オランダ戦でゴールを挙げた指宿がこの試合でもスタメンに名を連ねます。本大会への危機感を強くさせるのは、後半開始時に指宿と交代出場したのが、大迫では無く大津だった事です。後半28分から途中出場を果たしましたが、短い出場時間でインパクトを残せず、この大会で五輪出場を確かなものにする計画が狂ってしまいました。現在の予定では、7月9日が期限となっている予備登録36名の中から本登録18名(GK2名を含む)と予備4名を選ぶまでに、U-23日本代表メンバーでの試合はありません。試合後に、自身が「悔しい。少ししか試合に出られなかった。また一からやり直し。Jリーグで見返したい」と語るように、関塚監督を納得させるだけのパフォーマンスをJリーグで残すしか道はありません。大迫が不在のヴィッセル神戸戦ではジュニーニョと興梠がゴールを挙げており、厳しいポジション争いが待ち構えています。しかし、その困難を乗り越えてこそ、プレーヤーとして成長できるので、強い気持ちでJリーグでの試合に望んで欲しいです。

<山村 和也>
 U-23日本代表で、待望されたCBとして今大会に臨みました。二戦目のオランダ戦でデビューを果たしましたが、チームは勝利を収めながらも二失点。続くエジプト戦でもチームは三失点を喫し、良いアピールは出来ませんでした。所属する鹿島アントラーズでも言われている『マークの甘さ』『寄せの甘さ』という課題をU-23日本代表でも露呈してしまい、本大会でのメンバー入りが厳しくなってきています。周りの選手のカバーリングは出来ているだけに、クロスを上げさせない様に、しっかりと寄せる事が出来ていれば…と悔いが残ります。
 今大会を受けて、関塚監督がオーバーエージ枠をDFの選手に活用したいという思いを強くするでしょうが、各チーム事情もあるので、候補として上がっていた海外組の吉田や今野の招聘は難しいかもしれません。そのため、今大会のパフォーマンスを見て、五輪代表のメンバー入りは無くなったと断定するには、まだ早いです。今大会に出場した同じ国内組の選手達より良いパフォーマンスを残せば、代表入りを勝ち取れる可能性はあるでしょう。
 これまでキャプテンとしてチームを引っ張ってきた功績と、そのキャプテンシーを関塚監督は評価しているでしょうし、流れの中からのミドルシュート等、自身の持ち味を少しは披露出来ていたと思います。大迫同様、ベテランの青木や、復帰してくる中田浩二らとのポジション争いは、今後熾烈を極める事になると思いますが、厳しいポジション争いを勝ち抜き、鹿島の上位進出の原動力となって、自身の力をアピールする事がロンドン代表への切符を掴むために必要となるでしょう。今大会で得た貴重な経験を糧に、成長しましょう!

<柴崎 岳>
 本日、20歳の誕生日を迎えた柴崎。そのプレーぶりは既に大人の雰囲気を醸し出しておりますが、プロ入り2年目の選手であり、鹿島の将来を担う選手の一人です。その柴崎にとって、五輪代表入りへ少し追い風となりそうなのが、遠藤の代表辞退の報です。
 sponichi社の記事によると、所属するG大阪の社長がオーバーエージ枠で遠藤が選出されても拒否する意向を示したことを受けて、『クラブの考えを尊重する』と語っているとの事です。遠藤は、北京五輪でOA枠で選出されながらウイルス感染症のために出場を辞退した経緯もあり、五輪へ賭ける思いは強く、関塚監督も構想には入れていたのではないかと思いますので、関塚監督が受けるダメージは少なくないでしょう。遠藤の様にゲームを作れる司令塔の代わりを考えると、真っ先に川崎フロンターレの中村憲剛が思いつきます。川崎フロンターレ時代から関塚監督とは師弟関係にあり、招集リストに入っている可能性はかなり高いですが、所属チームでは、押しも押されぬ中心選手であるだけに、招集には困難が伴うと思います。
 そこで、柴崎が再び浮上してくるのではないかと思います。ゲームを作るという面で言えば、既にJリーグでも屈指のレベルにありますし、五輪世代であるため、オーバーエージ枠の消費もありません。関塚監督が懸念している事が予想される、DF陣にオーバーエージ枠から選手を多く起用できます(山村がいるので、あまり言いたくは無いことなのですが)。可能性が限りなく低い事はもちろん承知しておりますが、あれだけの才能を起用しない事は本当にもったいないと思いますので、五輪への門が完全に閉ざされるまで、当ブログを通じて、訴え続けていきます!


 最後まで読んでいただいてありがとうございます。鹿島アントラーズに、これまで多大なる貢献をしてくれていたフィジオ・セラピストのアレックスですが、本日、日本を離れるようです。これまで、本当にありがとうございました。

 そして、ハッピーバースデー柴崎!20歳という大事な一年を、飛躍の一年にしてください!!