TOKIOのテレビCMでおなじみ、グリーの課金制ソーシャルゲーム『探検ドリランド』(以下、ドリランド)の一部ユーザーが、バグ(プログラムの不具合)を利用してゲーム内のレアカードを不正に複製し、ヤフーオークションで数万円から20万円という高額で販売していたことが発覚した。ゲームライターのI氏はこう苦笑いする。

「このバグが知れ渡るまでの約5ヵ月間でヤフオクにレアカードを出品しまくり、3000万円ほど儲(もう)けた人物もいる。僕の知る限り、こういったオンラインゲームを不正利用した形では、個人で最も大きな金額。“現代の錬金術”だと大騒ぎになっています」

 ゲーム内のカードに20万円も払うというだけでも驚きなのに、それを売りさばいて3000万円も稼ぐ輩(やから)までいるとは……。

 そもそもドリランドとは、カードを駆使しながらほかのプレイヤーと協力し、ダンジョンの奥に潜むボスを倒していくカードバトルRPG。ボス戦勝利後、新たなカードを入手できる仕組みだ。

「基本無料で遊べますが、一回300円の『ガチャ』というクジを引くことでレアなカードが手に入り、ゲームを有利に進められます。また、ガチャのイベント期間に特定の8枚のカードをそろえると、さらなる超レアカードがもらえるんです」(I氏)

 超レアカードを入手するのにはかなりの金額がかかるので、運営元のグリーの業績が絶好調なのも納得だ。

 それでも、こうしたレアカードを手に入れようとコツコツ課金するユーザーがいるからこそ、このシステムが成り立っている。

「ほかの課金制ソーシャルゲームにも同様のシステムが浸透しています。最近ではモバゲーの『アイドルマスター シンデレラガールズ』というゲームで、カードをそろえるために15万円使ったというユーザーの話を聞きました。ゲーム製作会社のなかには、ついついお金をかけたくなるようなシステムの構築に注力しているところもありますからね(苦笑)」(I氏)

 そんなレアカード欲をかき立てられたユーザーにつけ込んだのが、今回の不正複製カードの販売者だ。

「バグを利用した金儲けは課金制ソーシャルゲームでは初めて耳にしたケースですが、バグ自体はどんなゲームにも当たり前に起こる可能性があるため、水面下では同じような不正が横行しているかもしれませんね」(I氏)

 ちなみに、これまで海外では、ハッキングなどで人為的にオンラインゲームのデータを変える違反事件もあったという。

「運営側が不正を防ごうと対策をしても、いたちごっこで新たな手口が現れることもあるでしょうし、完璧になくすのは事実上不可能。今回のように氾濫したレアカードは当然価値が落ちるので、これまで正しい利用法で数万円、数十万円と課金していたユーザーがむなしさを覚えるかもしれませんね」(I氏)

 今回の件について、グリーは不正コピーされたカードはログをたどって回収するという対応を発表。

「つまり、バグで大量複製されたとは知らずに購入していたとしても、そのカードは強制回収されるということ。規約ではヤフオクなどでカードを売買することを禁じていますから、買った側にも落ち度があるという裁(さば)きですね。一方、売った側に関しては今後グリーがどう対応していくかはわかりませんが“売り得”になる可能性も高いです」(I氏)

 規約違反とはいえ、20万円も使ったユーザーは大損し、不正を行なったユーザーには何もなしとは……悲しすぎる結末だ。

取材・文/尾崎 亮(A4studio)

【関連記事】
元『2ちゃんねる』管理人ひろゆき「ソーシャルゲームには風営法を適用してもいい」
仲間との信頼関係が崩壊して目が覚めた“携帯ゲーム中毒者”たち
スクエニは魂を売ったのか?FF最新作、モバゲーに登場でゲーマー激怒
ツイッターで炎上しないための「5つのルール」
今どきの女のコの7割は「SNSで始まる恋愛」もOK