トルコで暮らすある女性は、結婚して間もなく腎臓病に悩まされるようになった。以来12年間、人工透析治療を続けていたものの、最近になって腎臓の機能がさらに悪化し、移植を受ける必要性が高まったという。しかし、一般的に移植のドナーを見つけるのは容易なことではない――と思いきや、この女性は意外な人物からの提供の申し出を受け、元気な体を取り戻したそうだ。その提供者は、なんと夫の愛人だった。

この女性はトルコ中部のネヴシェヒルで暮らす34歳の女性。トルコ紙サンデーズ・ザマンによると、この女性は結婚生活4年目を迎えた12年前に腎臓病と診断された。以来、1日4時間の人工透析を行うため、週3回のペースで通院。そんな彼女に寄り添い、甲斐甲斐しく一緒に病院へ通っていた夫だったが、妻が懸命に治療を続けるその病院で、彼は禁断の愛を見つけてしまった。

妻と同じ34歳の女性と、浮気をしてしまった夫。そして彼は、浮気相手を息子のベビーシッターと偽って、彼の母が暮らす家に住まわせると、4年前には女性との間に娘ももうけたという。その関係を最近になって知った妻は、夫の行動に「自分が死んだら、女性と結婚するつもりなんだ」(トルコ紙Hurriyet Daily Newsより)と、当たり前だが悲しんだそうだ。

そんな思いも影響してか、妻の腎臓は時間と共に悪化の一途を辿り、ついには「移植が至急必要」(サンデーズ・ザマン紙より)な状態に。するとその状況を知った愛人の女性は、自ら腎臓の提供者に名乗りを上げた。実は妻に対して「以前、輸血に必要な血を提供した」ことがあり、自分と同じ血液型なのは知っていたため、血液型が異なる夫では無理な話も自分なら助けられるとの思いから、妻に対して「自分の腎臓を移植するよう」説得したという。

これにはずっと「『腎臓を提供して欲しい』と誰にも言ったことがなかった」妻も、思わぬところから現れた提供者にビックリ。そして、腎臓を受け入れるようにと迫り続ける愛人の熱意に打たれ、最終的には妻も提供の申し出に同意し、手術を行う運びとなった。結果、手術は無事成功し、妻は腎臓病の苦しみからようやく解放されたそうだ。

まさかの相手から腎臓を提供され、健康を取り戻しつつある妻。今では“ほかの女性に走った夫”と“最愛の人を奪おうとする敵”との見方はすっかり消え、人生に明るい道筋を開かせてくれた夫と女性に「感謝している」と話している。「私たちは夫を共有し、今では腎臓も共有している」(Hurriyet Daily Newsより)と仲間意識まで芽生えた妻に対し、女性も「手術後の彼女を支え続ける」と話しており、これからは3人仲良く生活していくようだ。