11月27日投開票の大阪市長選挙を「大阪秋の陣」と位置づけ、W選挙による大阪統一に並々ならぬ意欲を燃やしていた橋下徹大阪府知事。ところがここにきて戦意は急降下。その裏に、知事と島田紳助の良からぬ噂が蠢いているという。

 9月22日の会見では、平松邦夫市長の市長選出馬表明に対し「あれだけ反対していた区長公選制を認めた。あとは公選区長に予算編成権を与えるかどうかの一点だ。ここさえ折り合いがつけば、タッグを組める」と突如のエール。さらに、平松市長が予算編成権の付与に応じた場合は「選挙で戦う必要がない」とまで述べ周囲を驚かせた橋下知事。
 煽るだけ煽いだ揚げ句の突然の不戦論に、「いったい何があったんや」と維新の会の関係者ですら首を傾げているのだ。
 橋下知事の変化はこれだけではない。今年の初め頃まで、あれだけこだわっていた大阪カジノ構想に、なぜか口をつぐんでいるのだ。地域活性化の柱としてカジノを持ち出し、マカオやシンガポールに感化され「カジノも風俗も大阪に任せろ!」と豪語していた、あの勢いは、どこに行ったのか−−。

 最終決戦が間近に迫ったこの時期での大幅な軌道修正。その理由はやはり、独裁批判だ。維新の会内部からも声が出たという“強権的手法”への批判をご本人がようやく聞き入れた、という見方がもっぱらだ。
 「知事は強引なように見えますが、あれでも人の意見を聞くときには聞くんです」(維新の会関係者)

 また、府市協調・ダブル選挙回避を進言していた倉田薫池田市市長らの声に耳を傾けた、という声もある。しかし、あれだけの喧嘩上手、アピール上手の橋下知事が仇敵に理解を見せ、自説を簡単に引っ込めるだろうか。
 自民党関係筋からは、こんな声が聞こえてくるのだ。
 「市長選で頂上決戦を戦いたいけど戦えない。それが今の橋下知事です。なにせ、いつ爆弾が破裂するかもしれないんですから」

 その爆弾こそが、島田紳助だという。
 「紳助のことで、沖縄開発とそれに伴っての投資がらみの問題が出てきてますよね。この問題を突っ込んでいくと、橋下知事の名前が出てくる可能性はある。もし実際に名前が出てくれば、大きなマイナスになることは言うまでもありません。発言に慎重にならざるを得ませんよ」(同)