ヨーロッパなら、目茶苦茶叩かれると思う。

3―4―3というより3―5―2。4分割表記にすれば3―4―1―2。5―3―2になる時間も少なくなかったザックジャパン。その結果、ベストメンバーにはほど遠いチェコに対して0―0。ホームで2試合連続0―0に終わった。

試合後の横浜国際(日産スタジアム)は、にもかかわらず、「ザックジャパンが生で見られて大満足!」「感激!」と言わんばかりの黄色い歓声に包まれた。スタンドで観戦したファンすべてが、この調子ではなかったと思うが、不満の声はこちらの耳には届かなかった。ブーイングは沸かなかった。

僕の目には、あと30分試合時間があっても、ゴールが決まりそうには見えなかった。つまり、ザックジャパンが、良いサッカーをしているようには見えなかった。

3―4―3にトライするのはいいと思う。拍手を送りたくなるが、中身はお粗末。人前でお金を取ってご披露するレベルには、とてもではないが達していない。紅白戦等で使える目処が立ってからにすべきだと思う。

それでも「シュートは11本打った」と、ザッケローニは胸を張った。反省の様子は見られなかった。舐められている気がするのは僕だけだろうか。日本のメディアは甘い。ちょっとやそっとの失敗では叩かない。そうした安心感が、ザッケローニにはあると思う。

アジアカップ準決勝。韓国にラッキーな判定でリードを奪うと、布陣を3―5―2に変えて逃げ切りを図った。4―2―3―1を守備的な布陣に変更。専守防衛に徹したことが裏目に出て、韓国に同点ゴールをブチ込まれた。

ヨーロッパのメディアなら叩くに違いない采配ミス。しかしながら、日本のほとんどのメディアは叩かなかった。ザッケローニが、このことに安心したことは火を見るより明らか。さっそく3―4―3をテストした理由だろう。ザッケローニは日本人の勤勉さだとか、日本で味わうカルチャーショックを肯定的に捉えているが、追求の弱いメディアにも、満足(?)しているに違いない。

ホームで2試合連続、ベストにはほど遠いメンバーでやってきたペルー、チェコに引き分けたにもかかわらず、ブーイング一つ飛ばさないファンにも同様な印象を持っているだろう。緩いな、と。その間隙に乗じているように僕には見える。

その結果、自分のやりたいことが実現するなら、それはそれでオッケー。結果オーライな出来事として処理したいが、現実はそうではない。3―4―3がザッケローニの「伝家の宝刀」と言うのなら、もう少し完成品に近いものが披露されなければならない。

何より、3―4―3のメインテーマであるサイド攻撃が、ほとんど効いていない現実を見逃すことはできない。

「相手のチェコが、我々のサイド攻撃を警戒し、封じてきたが、その分だけ真ん中のバイタルエリアが空いたから、そこを突いた」と、ザッケローニは言った。

だが、僕の目には「空いた」と言うより、呼び込まれただけのように見えた。サイド攻撃を封じられたというが、同じく僕の目には、ザックジャパンがサイド攻撃を最初から狙っているようには見えなかった。4−3−「3」の「3」の右を務める本田のポジションは、最初から真ん中に偏っていた。「真ん中に入り、事実上2トップにせり出す形になった岡崎と李を、その下の位置からサポートする形を取らせた」とは、試合後のザッケローニの弁。さらに彼は「そのことは試合前から本田と打ち合わせしていた」とも語っている。

3FWが「2トップと2トップ下」の関係になることを、試合前から肯定していたわけだ。「サイド攻撃を封じられたから」というコメントと、それは大きく矛盾する。つまりザッケローニは、3―4―3が3―4―1―2的になることを否定しなかったことになる。