ホテルの女性従業員を殺して遺体侮辱…男に死刑判決＝中国

2011年5月25日 11時17分

　江西省〓州市中級法院（裁判所）はこのほど、殺人と遺体侮辱の罪で被告の男に死刑、政治権利の終身剥奪、個人財産全没収の有罪判決を言いわたした。中国新聞社が報じた。（〓は左側が「章」、右は「夂」の下に「貢」。日本語の読みは「かん」、中国語は「ガン」）

　男は2000年8月1日午前2時ごろ、〓州市内のホテルの宿直室に押し入り、従業員女性の手足を縛った。客室のキーを奪い盗みを働く計画だったが、警察に知らされると思い、枕で顔を押さえて窒息させるなどで殺害。その直後に遺体に体温が残っていることに気づき、遺体への侮辱行為を行った。

　男は2010年9月25日午前にも市内のスーパーで、店員がレジから離れたすきに、レジ内から現金860元を盗んだ。直後に店主に発見されると、持っていた果物ナイフで店主に切りつけ、逃走した。店主は即死状態だったという。

　裁判所は2人を殺した上に死体侮辱行為もあり、極めて残忍な犯罪などとして、男に死刑判決を言いわたした。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

◆解説◆　中国の法律は、遺体の損壊にかんする罪を「侮辱屍体罪」として、遺体を「暴露・わいせつ・毀損・塗布・踏みにじりなどの行為で遺体の尊厳または関係者の感情を損ねる行為」と、かなり具体的に定めている。刑罰は懲役3年以下の懲役。

　日本では「死体損壊等罪（刑法第190条）」で、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する」と定めている。

　中国の刑事裁判で多い「政治権利の終身剥奪」は死刑判決の場合は実質的な意味をあまり持たないが、汚職事件などによる政治関係者への有期刑判決の場合には「政治活動再開を断つ」という意味を持つことになる。（編集担当：如月隼人）

おすすめ記事