韓国人ブロガーのハルチャン（ハンドルネーム）さんは、日本人男性と結婚し、東京で新婚生活を送っている。福島第一原発事故を受けて多くの韓国人が帰国を選択し、日本人の夫がハルチャンさんの分の韓国行き飛行機チケットを予約しても、夫と共に東京に残ることを決めたという。

　「私が不安そうにしているのを見てかわいそうに思ったのか、夫が韓国行きのチケットを予約してきた。自分は仕事があるから一人で韓国に行けばいいと…。そんな夫を見て離れられなくなった。だから今朝キャンセルした」と述べる。キャンセルしたことを知った夫が「本当にいいのか」とたずねても、「うん、私行かない〜」と返答したという。

　韓国行きを断ったハルチャンさんだが、心の中は違ったようだ。「本当は韓国に行きたかった。周りの韓国人はみんな帰国している。怖いというよりも、寂しくなった。韓国にいる家族はなんでキャンセルしたのかと大騒ぎになった」と語る。しかし、「韓国には昔から『嫁入りしたらその家のお化けになれ』（嫁いだらその家の一員として一生暮らすという意味）という考え方があるように、私も日本の家に嫁入りしたのだから、死んでもここで暮らす」と述べる。

　「今、渋谷にいるが、いつもよりも人がずいぶん減った気がする」とし、「このような状況の中でも、普段と同じように仕事をする人びと、夫、そして仕事ができるということに感謝したい」と語った。

　韓国人ブロガーのカツマル（ハンドルネーム）さんも、韓国に戻らず東京に留まることを決めたひとり。周りにいる韓国人はみんな帰国したそうで、あさってになれば周囲で残っている韓国人は自分だけになるという。

　当然、韓国にいる家族や友人からは、帰国をすすめる電話が何度もあったそうだが、カツマルさんはすべて断ったという。「東京は地下鉄が遅れたり、計画停電があったり、食糧が足りなかったりするが、大きな影響はない。韓国にいる家族や知人はみんな心配してくれているのは分かるが、私が思うに東京の人よりも大騒ぎしている」と述べる。

　「現地にいる私からみると、不安な気持ちにさせる原因のひとつが韓国にいる人びとではないかと思う。余震が起きる度に『大丈夫か？』『韓国に来い、いつ来るんだ？』のラッシュ。『危険だ、どうするの、いつ来る、早く来い』などの声を何度も聞いていると、明日にでも自分が死んでしまうような気分になる。でも違う」と少しいら立ちながら語る。

　「さらに、普段あまり連絡していない人も『君のことを思い出して…』と連絡してくるが、今はそこまで気が回らない」とし、周りが自分を心配してくれていることに感謝しながらも「不安にさせる連絡より、がんばれと言って非常食を送ってくれる人の方がありがたい」と語った。（編集担当：新川悠）



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