懸念していたとおり、やはりトーゴは直前になって来日メンバー表に大量に斜線を入れ、実際にやってきたのはたったの14人。選手の来日ボイコットとも言われているが、その中にはもちろんエースのエマニュエル・アデバヨルも含まれる。
来日した14人も、成田に着いたのが試合前日の夕方で一度も練習してないのだから、どんなコンディションであるかは容易に想像できる。実際に試合をしてみれば、14人どころか、11人もいなかったんじゃないのか、というほどのていたらくだったね。しかし正直言って、これほどまでひどいとは。

民主党はムダな公共事業をやめましょうと声高に叫んでいるけど、日本サッカーも同じだよ。ムダな親善試合をやめましょうと、キャンペーンをうちたい気分だ。
スコットランド戦も含め、日本サッカー界は1週間で2回も詐欺にあったようなものだ。日本がいかになめられているかというのがよくわかった。

トーゴ戦は、世間的な注目度が高い森本が先発起用されて初ゴールを決め、岡崎も香港戦に続くハットトリック達成と、興行的に、つまりテレビ的にはトピックの上がった試合だったかもしれない。
でもやっぱり、こんなことを続けるべきじゃない。選手に責任はないのだけど、お客さんからも、監督からも、文句が出ないのが信じられないよ。今回の試合は地方で行ったわけだけど、あんな対戦相手を見せられてブーイングが起きないのは、そこへやってくるお客さんは、サッカーを観に来てるんじゃなくて、日本代表を見たいだけなんだね。それはサッカーが文化として根付いていないことの証明だよ。

強化って何だろうか。もう一度よく考えてみる必要がある。オランダ遠征の反省は、こんな相手と戦って生きてくるだろうか。どの相手、どの大会に向けてのシミュレーションなのだろうか。
何度も言うようだけど、4年間、同じサイクルを繰り返し、本番で負けるのはもう見たくない。むしろ4年前より状況は悪化している。(了)  


セルジオ越後 (サッカー解説者) 
18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中