民放TF1局でフランス代表の試合実況を担当し、「フランス代表戦の声」として親しまれたティエリ・ジラルディさんが25日、心不全で亡くなった。ジラルディさんは26日のフランス対イングランド戦の実況を行なう予定だった。ユーロ2008まであと2ヶ月あまり、わずか49歳の突然の訃報にフランス全体が大きなショックに包まれている。

 ジラルディさんは、2004年からベテランのティエリ・ロランさん(退職後、別の民放M6局で復帰)に代わり、TF1局のフランス代表戦のほか、日曜朝のサッカー番組「テレフット」の司会を務めてきた。

 前任者のロランさんが40年以上にわたりフランス代表戦を実況してきた名物アナウンサーだったため、交代当初は“大役”を不安視する声もあったが、すぐにその明瞭かつ熱い語り口で不安を払拭し、「新しいフランス代表戦の声」として受け入れられた。とくに2006年W杯決勝戦でジネディーヌ・ジダンがマルコ・マテラッツィに頭突きを浴びせ退場処分になったときに発した「ジネディーヌ、なぜだ!?」の悲痛な叫びは、フランスの視聴者の耳に鮮明な記憶として残っている。

 訃報は奇しくも、ジラルディさんが実況するはずだったフランス対イングランド戦の前夜、A'代表のマリ戦の途中に報じられた。レキップ紙によると、フランス代表の選手たちもまったく予期しなかった早すぎる死に、動揺を隠せないという。選手たちはジラルディさんの死を悼み、イングランド戦で喪章をつけ、試合前に1分間の黙祷を捧げる。