中島美嘉(撮影:野原誠治)
 昨年は3月に発表した4作目のアルバム「YES」を引っさげて、全国45公演のツアー「YES MY JOY」で約11万人を動員した中島美嘉。同年8月に発表した23作目のシングル「LIFE」は着うた(R)ダウンロード数が約160万件を突破する中、今月12日にはニューシングル「SAKURA〜花霞〜」を発表。「常に音楽シーンの第一線にいながら、同時にストイックな姿勢を保持し続けている、稀有なアーティスト」として日本人初となる「Rolling Stone Japan」誌の表紙を飾った彼女に話を聞いた。

■前々作の「LIFE」も、前作の「永遠の詩」も、自分から「これをやりたい」と言うのではなく、目の前にある課題をどう表現するか?ということを楽しんでいる、と話されていましたが、今回の「SAKURA〜花霞〜」については如何ですか?

中島美嘉(以降、中島):今回は、半々という感じですね。「この曲をやるんだったら、アレンジと歌詞をこういう風にして欲しい」ということを伝えましたね。

■「いつも新しいことをやりたい」と言われていますが、以前に発表された「桜色舞うころ」から約3年が経ち、今回「桜」の歌を歌うことに対して抵抗はありましたか?

中島:うん、もちろんありましたよ。それが最初から課題で、みんなで考えてはいたんですけど、いい曲だったので、これでいこうかな、と思って。色々とこだわって考えるんですけど、結果いい曲になれば。それがずっと迷ったままだったら、多分やれなかったかもしれないですけど。

■「自分の歌声に真正面から向き合い、シンガーとしての個性をフルに表現したい」ということをリクエストされたそうですが、そう思うきっかけはあったのでしょうか?

中島:ライブですね。ライブをやって、「自分の声がどういう曲に合うのか」というのが自分で分かってから。

■昨年に行なわれた全国ツアー「YES MY JOY」を東京国際フォーラムで観させて頂きましたが、線は細いけど体全体を振動させて声を響かせるような歌い方をされる方だなと感じていて。今までライブを重ねていく中で、自分の歌い方が完成されつつあるような感覚はありますか?

中島:多分、これで完成ということはないと思うんですけど、自分がどういう風に歌うのが一番自分の声に合うか、自分が好きか、というのは分かっているつもりです。

■ライブの楽しさはどんな所に感じていますか?

中島:難しいですね。楽しいからやっているのは確かなんですけど、「なぜ?」って言われると「なんでだろう?」って思うから。分からないですけど、達成感とか、単純に目の前でファンに会えるというのが楽しみなのかな。

■ツアーを通じて「地球環境のためのエコ」を呼び掛けていましたが、何かきっかけはあったのですか?

中島:すごく簡単なことなんですけど、この仕事をしていると、食べ物も飲み物も「あればあるだけいい」みたいな量になるんですよ。スタッフもみんな含めてだと思うんですけど、差し入れも私一人に対して、10人いらしたら10人がみんな持ってきてくれたりするので、必ず余るんですよね。一年半ぐらい前に「とにかくそれを止めよう!」とハッキリみんなで決めた所から始まりました。

■自分だけではなく、エコをお客さんにも伝えていこうと思ったのは何故ですか?

中島:全員に伝わるとは思っていないんですけど、一部にでも伝われば。ライブが45本あるわけですからね。多少なりとも共感してくれる人がいるんじゃないかなと思って。別に押し付けようとは思っていなくて、ただ私がやってみて楽しかったので、少しでも多くの人がやってくれればいいなぁと思って。

■友達とエコについて話したり、自分の身の回りで徐々にでも浸透し始めていると感じる場面はありますか?

中島:そうですね。私がお箸を持ち歩いてるので、それを見て「やろう!」と言って買った子もいるし。そういう話はちょっとしますね。前よりは随分みんな気にしているんじゃないですかね。

■ライブのMC以外でも、自分なりのメッセージを歌詞に込めたりすることはありますか?

中島:自分で書く歌詞の全てではないですけど、「これを聴いて気付く人がいたらいいな」という程度に何かを入れたりはします。それに気付かない人は気付かない人で曲として楽しんでもらって、気付いたらそこから色々なことを考える人もいるだろうな、と思うことはありますね。