リバプールのラファエル・ベニテス監督は、DFガブリエル・エインセの去就を巡るマンチェスター・ユナイテッドの対応について、「理解に苦しむ」と苦言を呈した。

 マンU側は、エインセの代理人に対し、680万ポンド(約17億円)で今夏の移籍を認める旨を、書面で通達した。そして、この情報を知ったベニテスは、即座にこのアルゼンチン代表DFの獲得に乗り出し、マンU側が設定した金額の支払いを確約するオファーを提示した。

 しかしマンU側は、オファー元がローカルライバルのリバプールであることを知ると、エインセの放出を断固拒否。アレックス・ファーガソン監督に至っては、「エインセがリバプールへ移籍することはない。我々は彼の代理人による発言を調査しているところだ。今のところ何も言うことはないが、そもそも今回の件で、我々はエインセの代理人に不信感を抱いている。今後も調査を続けることになるだろう」と、代理人の責任を追及する構えだ。

 この状況について、ベニテスはマンU側の対応を痛烈に批判。マンUがエインセの移籍を認めていたことは周知の事実だとして、ファーガソン監督のコメントの不当性を訴えた。

「エインセの状況については、ヨーロッパ中のクラブが知っていること。だから、マンUが何を問題にしているのか、私にはさっぱり理解出来ない。我々はオファーを提示したが、拒否された。彼らがマスコミに対して話していることは耳にしているよ。だが、書類にサインしたのは彼らなんだ。それは世界中の人間が知っていることだ」

 イングランドが誇る屈指の2大クラブであるマンUとリバプールは、イングランド北西部を分かつ因縁のライバル。両クラブ間における選手の移籍となれば、1964年にマンUからリバプールへ移籍したフィル・チスナール以来、皆無だ。ライバルクラブへの戦力提供を拒むマンUと、経験豊富なアルゼンチン代表DFを是が非でも獲得したいリバプール。両クラブの攻防戦は、まだまだ続くことになりそうだ。