“カリフォルニアンKID”の異名を持つユライア・フェイバー【photo by Dave Contreras】

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米国のKIDか、童顔のADCC王者か、それともカナダの打撃系総合格闘家か。
今週末の海外MMAシーンからは、フェザー級(65?)、バンタム級(61?)にも力を入れるワールド・エクストリーム・ケージファイティング(WEC)のラスベガス大会に注目したい。
オランダなど欧州の格闘技イベントでは頻繁に見られるが、米国では非常に珍しい日曜日(現時時間)の興行となる6月3日開催のWECハードロック・リゾート&カジノ大会。

 WECと耳にしても、ピンとこないMMAファンも多いかもしれないが、元UFCファイターでチャック・リデルのセコンドも務めるスコット・アダムスがカリフォルニア州レムーアで、2001年6月よりコンスタントに大会を開いてきた中堅プロモーション。活きの良い若手を登用し、数々の選手がUFCに巣立っていった。そのWECが、一気に注目を浴びるようになったのが、昨年11月。UFCを開いているZuffaが、WECを買収し運営を行なうようになってからだ。
 以後、ラスベガスに大会基盤を移し、以前はUFCファイトナイトやジ・アルティメット・フィナーレが行なわれてきたハードロックで、これまで2度の大会を行なってきた。

 そして、今回からVERSUS(元はアウトドアライフ・チャンネルという名で、ケーブルTVの基本チャンネルに組みこまれている。※一部ではエクストラ扱い)でLIVE中継がスタートする。

 乱立するMMA TV時代を勝ち残るべき、Zuffaらしい手腕が、早くもWECには表れている。かつてライト級からヘビー級まで王者を認定しながら、ランディ・クートゥアー、チャック・リデル、ティト・オーティズ、ヴィトー・ベウフォートのライトヘビー級四強を全面に打ち出し、結果的にその他の階級まで世間の認識を広げたように、WECではバンタム級とフェザー級というUFCでは王者を認定していない階級に強豪をズラリと並べている。

 今大会のメインを張るのは、WECフェザー級王者ユライア・フェイバー(米国)。18勝1敗、「KIDヤマモトと闘いたい」と明言し、カリフォルニアンKIDの異名を持つ北米最強の男。対戦相手のチャンス・ファルラー(米国)は、サンディエゴで活発なプロモーションを展開するトータル・コンバットで実績を積んできた選手で、5戦5勝の戦績を持つ。が、この試合は次回大会以降のウォーミングアップでしかない。セミファイナルで組まれたフェザー級のマッチアップを見れば、その意味が分かるに違いない。

 セミで組まれたフェザー級の一戦は、ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)×マーク・ホーミニック(カナダ)という組み技×打撃の対戦だ。ヤヒーラは、3週間前に行なわれたADCC世界大会決勝で、あのレオジーニョ・ヴィエイラから一本勝ちし、66?の組み技世界一の座についたばかり。一方のホーミニックはカナダの老舗MMAプロモーション=TKOの元王者で、日本の日沖発(ALIVE)に連敗を喫し、失地回復に燃える打撃が冴えるファイターだ。

 ラスベガスのエクストリーム・クートゥアーでトレーニングを積むホーミニック、テイクダウンの防御に余念がないに違いない。勝敗の鍵を握るのは、まさにそのテイクダウンの攻防だ。爆発的な突進力はあるものの、決してテイクダウンを得意とするわけではないヤヒーラは、一度でも寝技に持ち込めば、極めの強さは際立ったものを見せる。
 ホーミニックも、かつてUFCでイーブス・エドワーズから三角絞めで一本を奪っているが、これはその前に繰り出したミドルキックの威力で可能になったにすぎない。よって寝技勝負では、ます勝ち目はない。だからこそ、スタンドにこだわりたいホーミニック。