この時点で、私はこの事実を前に「カードを手に入れるか、ゲームを封印するか?」2つに1つという選択を迫られることになりました。……しかし、このままでは終われません。私は意を決して、ラブベリのカードをバラ売りしている、秋葉原の某ホビーショップに向かう決心をしました。ショップに到着後、店内のカード置き場を確認し、ベリーに似合いそうなアイテムを選択開始。近くを通る客の"痛い"視線を感じたりもしましたが、もはや気にしていられません。とりあえず、ストリート系アイテムを中心に21枚を購入。価格は4千円弱で1枚平均190円程度。「これでなんとか戦えるはず!」と、希望を胸に自宅へ戻ったのであります。

気を取り直してプレイ再開。購入してきたカードで着せ替えをしてみます。魔女っ娘アニメっぽい効果音と共に、ベリーの服が買ってきたカードの絵柄と同じものに変化した瞬間「お、面白い!」と、もの凄く単純に感動してしまいました。永久に封印しようかとも思ったDS版ラブベリに対する不満は、ベリーがオシャレをした瞬間に"一瞬"にして吹き飛んでしまったのです。なるほど、女の子や母親が夢中になるのも理解できます。判定がシビアだったダンスパートも、オシャレのラッキーカラーを対応させることでミスを減らす効果があることも判明しました。とにかくラブベリは、オシャレをしなければ始まらない、カードありきで制作されたゲームソフトだったのです。

それならそうと、ゲームの広告やパッケージ等に「付属のオシャレまほうカードだけでは満足に遊べません」という旨を明記してほしかったですね。世の中には私のように「ラブベリを遊んでみたいんだけどゲームコーナーじゃ無理」という人もいるはずですし……。

その後、手持ちのカードでなんとか2面クリアできるようにはなりました。ちなみに、私がプレイした「おすすめかんたん」モードでは、2面クリア時の判定で「1級」を取ると3面に進めるようなのですが、何度やっても私は「2級」が限界。煮詰まってネットで色々調べたところ、どうやらまともに戦うためのカードは100枚くらいは必要という情報が目に入ってきました。

ううむ、こうなると悩んでしまいます。仮に追加で80枚カードを入手するとして、概算で190円×80枚=15,200円。元々大量にカードを持っている上で遊ぶのならともかく、一からスタートのプレイヤーがカードに2万円近く投資するというのは、正直厳しい気がします。確かに着せ替えパートは楽しいのですが、ダンスパートは楽曲が子供向けだけに微妙で、私のようなアキバ系男子が本気で攻略しようと思うには微妙なハードルがあります。

キャラのデザインにもう少し萌え要素があるとか、楽曲もゴリゴリのラップとかトランスとか、"モー娘。"的なアイドルソングとかなら、超気合いも入ろうというものなのですが……。さらに調べてみると、どうやらラブベリはあえて「萌え系」にカテゴライズされるのを避けて設計されたようなので、我々アキバ系は最初から眼中になかったみたいです(泣き)。全身打撃をくらって感じで、めまいを覚えつつ、しばらく封印する決意をしました(ぐすん)。

もしDS版の次作があるならば、その時は「カードを持ってなくても楽しめる」ゲームになることを期待しています。ちなみに映画も公開されていたので、しっかり観てきましたが、同時上映のムシキングの方が、私的には面白くて、やや困りました(アニメファン必見の出来。声優・ドランクドラゴン塚地の演技力は本物)。いや、ラブベリもそれなりには面白かったのですが、TVシリーズを1年間続けて世界観が確立しているムシキングと、初のアニメ化でキャラ説明からスタートしなければならないラブベリを単純に比較するのは酷というものでしょう。

結局ラブベリは、女の子たちの愛すべきものだったようです。アキバ系男子が安直に手を出すものではなかったのかも知れません。映画も結局、甲虫バトルで燃えるムシキングの方が私的には楽しめてしまいましたし。少女漫画や少女向けアニメなら問題なく楽しめるアキバ系も、セガの綿密な戦略の基に生み出された「少女向けゲーム」の前には"無力"であったということでしょうか。
いつかアキバ系に超ストライクな、着せ替え系家庭用ゲームがセガからリリースされることを熱望しつつ、ラブベリからは一時引退します。余談ですが、もしカードが余ってる方がいたらゆずってください。カードがあれば再度遊んでみたいとは思ってますので……(好きなんですね)。

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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。

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