1個25円のコロッケ。高校生も安さに驚く=21日、東京・墨田区で(撮影:吉川忠行)

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1月18日、東京・墨田区の同区中小企業センターで、早大の地域経営ゼミ(友成真一・同大理工学術院教授)がプロジェクトを発表する「大プレゼン大会」が開かれた。会場には地元の中小企業経営者や商店街関係者、高校生などが出席した。

 「ドスコイすみだ」、「コンタクツ」、「かすみだ関」、「すみだ大サーカス」──。1班9人程度で構成する4班が活動報告を行う。いずれも、地元商店街や同区内の高校生など、地元の人的な“資源”を巻き込んだプロジェクトだ。

 ドスコイすみだは、新東京タワー建設地周辺の居酒屋に、交換日記を置くプロジェクトを披露した。店主と客が新タワーを肴(さかな)に交流を深めていくことで、地元に対する関心を深めてもらおうと試みる。

 一方、かすみだ関が発表したプロジェクトは“これからの世代”である高校生がターゲット。区内を巡る「まち歩き」を通して普段通い慣れている学校周辺から何かを感じ取ってもらおうというアイデアだ。高校生たちの地元を丸一日歩くことで、どんな発見があるのだろうかと期待が膨らむ。

自分たちにしかできないプランを

 大プレゼン大会の3日後。中小企業センターには、かすみだ関のゼミ生9人に加え、東京都立墨田川高校(以下・墨高)の生徒7人の姿があった。高校生の中には、大プレゼン大会でゼミ生と顔を合わせている生徒もいたためか、会場は自然と和やかな雰囲気に包まれた。

 まち歩きの出発前には「誰のためのまち歩きプランか」を各班で話し合い、ルートを決めた。記者が同行した班では、墨高の生徒が学校付近で新たな発見を試みようというプランに決定。「高校生である自分たちにしかできないプラン作り」を合言葉に、ゼミ生と互いのアイデアを出し合った。

 高校生からは自分たちが普段遊んでいるボーリング場や、名前は聞いたことがあるけど、自分たちは食べたことのない「伝説のもなか」などが挙がる。墨田区の地図に目的地を足していった結果、放課後何かを食べながら「まったりできる(のんびりと自分を開放できる)」という方向性が見え、まち歩きに出発した。

2年間通っているのに…

 曇天の下、まち歩きは「伝説のもなか探し」から始まった。最寄り駅からしばらく歩くと、探していた和菓子店が目の前に現れ、近くに住む高校生からは「えー!毎日自転車で通っているのに知らなかった」と、地元での名物発見の喜びと驚きが入り交じった表情を見せていた。

 もなかを手に入れた一行は、高校生行きつけのボーリング場の前を通り、墨高周辺の商店街へ向かう。「部活は何やってるの?」「大学って楽しいですか?」ゼミ生たちとはお互いの学校生活などの話題で盛り上がる。

 「コロッケ1個25円?安いっ!」「焼き鳥は1本50円だぁ」。墨高から線路を挟んだ商店街で見つけた総菜店で、高校生からは安さに素直に驚きの声が上がった。この商店街は通学路に当たらないため、ほとんど来たことがないという。

 3時間半のまち歩きを終えた高校生は「2年間通っている場所なのに全然知らないところが多かった」と、地元での新発見の連続に満足げだった。

地元の知らない場所は「異国」

 まち歩きを終えた各班は、それぞれ墨田区の大きな白地図に、歩いたルートやお店、発見した「名所」などを色とりどりのマジックで書き込んでいき、自分たちだけの「すみだ」が完成していく。

 地元で新たな発見をした高校生たちを駅まで送ったゼミ生たちは、全員で反省会を開いた。今回の試みで良かった点として「自分たちの地元なのに感動してくれたこと」などが挙がる。反面、日曜日で閉まっている店が多かったことなどの準備段階に課題を残した。

 プロジェクト当日を終え、政治経済学部4年の佐々木知範さんは「高校生にとって“大学生と何かができる”というシンプルなことが、大きなモチベーションになっていた点が新鮮だった」と振り返る。

 高校生の感想には「地元だけど知らない場所へ行った時、異国に来た気分になった」など、普段とは違う視点で地元を見られたとの声が多かった。彼らが新たな発見を達成した一方、佐々木さんは「このプロジェクトは、まだまだゴールじゃない!ってことは確か」と語る。ゼミ生はこれからも活性化の“タネ”をまき続ける。(全4回・つづく

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