18日、東京・墨田区内で地域活性化案を発表する早稲田大学地域経営ゼミの学生(撮影:吉川忠行)

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2011年に高さ610メートルの新東京タワーが完成する墨田区で18日夜、同区内で地域活性化に取り組んでいる早稲田大学の学生が、地元商店主らに活性化プロジェクトを説明する「地域経営ゼミ 大プレゼンテーション大会」を、区内のすみだ中小企業センターで行った。

 墨田区では新タワー完成を機に、これまで区を支えてきた生活必需品中心のものづくりに加え、観光を新たな屋台骨に育てようと模索している。また、早稲田大学と02年12月に締結した事業連携協定に基づき、地元の商店街や中小企業を交えた地域活性化の産学官連携に取り組んでおり、その一環として「地域を経営する」をテーマにした友成真一教授(同大理工学術院)のゼミを、新タワー建設地に決まる以前の03年4月から同区内で実施している。

 4年目となる今年度は、学生が4グループに分かれ、区内の商店街や新タワー建設地周辺の飲食店を巻き込んだ活性化案を披露。新タワーだけに頼らない地域のあり方を提案した。また、昨年ゼミを受講し、現在も活動を続けている学生も2グループが活動報告を行った。

 2グループのうち「キラキラ探偵団プロジェクト」は、区内の小学生に焦点をあてた。ゼミ生扮する“依頼人”が子どもたちに「親せきのおじさん探し」を頼み、ゲームのように問題を解決していくことで、舞台となる商店街の人と交流するプロジェクトを行った結果を報告。商店主の間で地元の子どもを育てる意識が強くなることで、商品を売るだけに終わらない商店街へ変化する可能性を示した。

 地元商店街で肌着店を経営する大和(おおわ)和道さんは、4年間ゼミの活動に協力してきた。「学生たちは毎年入れ替わるが、毎年店に来てくれる学生もいる。彼らも我々も活動に慣れてきた。いくら商店街と言っても、いきなりうまく行かないからね」と、4年の歳月で地域にゼミがとけ込んできていることを実感していた。

 同ゼミでは、必ずしも説明会までに“結果”を求めていない。友成教授は「短期で“結果”を求めるなら学生をコマとして使うだけになる。学生自身が活性化しなければ地域を活性化できない」と、従来の手法とは違った切り口で、学生が地域活性化に取り組む意義を語った。学生たちの多くは、授業期間が終わった後も自主的に区内で活動を行っていくという。【了】

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