東京都港区で開かれた、フジテレビ株主総会の会場前の様子。(撮影:東雲吾衣)

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フジテレビジョン(以下フジテレビ)<4676>は29日、東京都港区のホテルグランパシフィックメリディアンで第65回定時株主総会を開き、昨年より504人少ない996人の株主が来場した。会場へ向かう株主からは「焦点はライブドア(LD)事件への対応」とする声が上がる中、日枝久会長は総会の冒頭で、「お騒がせして申し訳ない」とお詫びの言葉を述べる一方、LD株の取得は適切な経営判断だったとして、株主に理解を求めた。

 この日、朝から会場玄関前には30人ほどの報道陣が詰めかけ、来場する株主にカメラを向けたりインタビューをする姿が目立った。北区から来たという70代の男性株主は、LD事件で大損したと話し、「あんなの(LD)と組んじゃって、日枝さんもしょうがない」と苦々しい表情を浮かべた。

 午前10時から始まった株主総会は、昨年より19分短い2時間15分で終了。出席した株主によると、会場では「だらしない経営者だ」といった罵声が飛び、一部の株主が大声を出すなど、会場がざわつく場面もあったという。また、堀江貴文、村上世彰両被告(いずれも証券取引法違反で起訴)との関係について問われた際、会社側は、「東京地検が調査に入るまで我々にもわからなかった」「村上氏や堀江氏を信用するほかなかった」などと説明したという。

 総会を終えた株主からは、LDの証券取引法違反容疑事件でフジテレビの株価が急落し、345億円の差損を出したことについて「会社は“経営責任はない”と言うが、日枝会長は退任すべきだ」とする厳しい意見も。「今日の総会に出てみて、株を持ち続けるかを考えてしまう」と、フジテレビ側の説明に失望を隠せない声も聞かれた。

 フジテレビの発表によると、質問に立った株主は昨年と同じ15人。345億円の損失の回収方法や、企業防衛についての質問がなされた。会社側が提案した、利益処分案の承認や取締役19人選任など5つの決議事項は、すべて賛成多数で可決された。【了】