いまやレトルト商品も販売される新潟名物となった「バスセンターのカレー」。そのカレーが食べられるバスターミナルで、改装工事が始まっています。カレーや、その「味」のひとつともいえる「レトロな店構え」はどうなるのでしょうか。

レトルトも販売される新潟名物

 新潟市の中心部に位置するバスターミナル「万代シテイバスセンター」。ここに、ある“名物”が存在します。ターミナル内にある立ち食いそば店「万代そば」が提供するカレーです。


万代シテイバスターミナルでカレーを提供する立ち食いそば店「万代そば」(画像:新潟交通)。

 一見、ごく普通のカレーですが、愛好しSNSなどで紹介する芸能人も多く、メディアで「新潟のソウルフード」的な扱いで取りあげられることがあります。バスターミナルの運営管理を行っている新潟交通自身が、「バスセンターのカレー」としてレトルトカレーを販売するほどです。なぜここまで有名になったのか、新潟交通に聞きました。

――「万代そば」の営業とカレーの提供は、いつごろからでしょうか?

 1973(昭和48)年11月に万代シテイバスセンタービルが完成した際から現在地で営業しており、当時からカレーも販売していました。またそれ以前、万代シテイバスセンタービルの前身で、現在のテレコムビル(万代シテイのやや北東)の位置にあった「新潟交通バスステーションビル」内でも営業していました。

――このカレーならではの“こだわり”はありますでしょうか?

 販売開始以来、一切レシピを変えていないことが、いちばんの“こだわり”です。多くの施設から出店依頼がありますが、2号店は出さず、あくまで「万代シテイでしか食べられない」ことも“こだわり”のひとつでしょう。

2020年夏ごろから休業へ

――なぜここまで有名になったのでしょうか?

 もともと根強いファンの方々がいらっしゃったのですが、2017年3月にテレビ朝日系列のバラエティ番組『アメトーーク!』の「カレー大好き芸人」で取りあげていただき、各局の番組制作者から取材の問い合わせが増え始めました。最大のピークを迎えたのは2018年6月、日本テレビ系列のバラエティ番組『秘密のケンミンSHOW』の放送後で、連日行列が続きました。ちなみに、レトルトカレーはファンの方に向け10年以上前から販売しているものですが、このときはレトルトも品薄状態になるほどでした。

――利用者からはどのような声がありますでしょうか?

 多くのメディアで取りあげられたことで、女性のお客様や、県外のお客様のご利用が増えました。「新潟(万代)に来たときは必ず立ち寄る」「いつ食べても変わらぬ味」「懐かしいカレーだけれど、家庭ではこの味は出せない」と、たくさんのありがたいお声をいただいています。


「万代そば」で提供されるカレーライス。同じルーを使うカレーうどんやカレーそばもある(画像:新潟交通)。

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 レトルト商品はあるものの、万代シテイバスターミナルでしか食べられないこのカレー。昭和の時代から変わらぬ雰囲気が残る立ち食いスタンドの風情なども、「味」のうちかもしれません。しかし、バスターミナルを含む万代シティは2019年4月からリニューアル工事が始まっており、2021年までには大きく変わる予定です。

「2021年3月まで、2年かけてバスセンタービルの耐震リニューアル工事を行います。『万代そば』も設備更新などで、2020年の夏ごろから数か月間は休業となる予定です」(新潟交通)

 なお新潟交通によると、休業期間の臨時営業については未定とのこと。また工事後は「現在の場所で、変わらない味を提供できる」と考えているそうです。

【写真】新潟土産にぴったり? 「バスカレー」レトルト


新潟交通商事が販売する「バスセンターのカレー」。1.5人前とやや大きい(画像:新潟交通商事)。