CEOになりすまし店員をクビにしたユーチューバー(画像は『Click2Houston 2019年5月8日付「‘You’re fired’: Heartless prank brings Walmart employee to tears」』のスクリーンショット)

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複数のYouTubeチャンネルを持ち、100万人を超える登録者を持つユーチューバーが仕掛けた“あるいたずら”が物議を醸している。『Click2Houston』などが伝えた。

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米テキサス州在住のローレン・ラブさん(Lauren Love)は、パートナーや子供たちとの何気ない日常だけでなく、ファッションや美容関係、そしていたずら動画などを手掛けるユーチューバーである。そのローレンさんが4月23日、「CEO(最高経営責任者)が人を解雇するいたずら」とのタイトルをつけ、ある動画を投稿した。

動画では、テキサス州リッチモンドの大型スーパー「ウォルマート」にローレンさんがスーツを着て現れる。そしてこの日の“いたずら”について次のように説明した。

「今日はウォルマートのマネージャーになって、ここで働いている人たちの様子をじっくり見させてもらうわ。そして店員にこう言うの。『あなたはクビよ。名札を見せなさい』ってね。」

ローレンさんは店内を回り、ある店員には「よくやってるわね」と声をかけ、別の店員には「仕事が遅いわ。あなたはクビよ」とまくしたてている。複数の店員に声をかけ、自分の正体を明かすローレンさんであったが、最後にターゲットにされた初老の女性店員は“偽CEO”の言葉を深刻に受け止めた。

この女性と面と向かって話しているローレンさんは、「あなたの仕事のやり方はなってないわね。クビよ。ベストと名札を置いていきなさい」と容赦なく告げたのだ。女性は最初こそ反論しているようだったが、そのうち感情が抑えられなくなり涙を流し始めた。

女性はウォルマートで働いて6年になるというマリア・レオネスさんで、フィリピンから夫や子供、孫らと一緒にアメリカにやってきた。最近、一緒になって43年になる夫が心疾患で倒れ、冠動脈バイパス移植術を受けたばかりで、マリアさんはウォルマートでの収入を夫の医療費に充てていた。

この動画の撮影から約2週間後、地元テレビ局のインタビューを受けたマリアさんは、目に涙を浮かべこのように語っている。

「解雇と言われて最初に頭に浮かんだのは夫のことです。あの言葉は私をどん底に突き落とし、自分が無力で小さな人間に思えました。フィリピンでは私は教授で、評判も良かったのです。でもあの時ばかりは不安と屈辱感でいっぱいになりました。」

のちにローレンさんはマリアさんに謝罪したが、マリアさんは「人々の感情をもて遊ぶなんてことはすべきではありません」といまだに納得がいかないようだ。またローレンさんは「マリアさんに50ドルをお詫びとして渡した」と主張しているが、マリアさんはこれを否定している。

ウォルマートはその後、ローレンさんとカメラマンの店への出入りを禁止する声明を出しており、問題の動画はYouTubeから削除された。なんとも後味が悪い結末であるが、動画を見た人からは「このユーチューバーを追放すべき」「ちっとも面白くない」「人を傷つけて何が楽しいの」「これはイジメと一緒」「ウォルマートのセキュリティは何をしていたんだろう」といった非難の声が相次いでいる。

派手なパフォーマンスやいたずらで再生回数を稼ぐユーチューバーだが、度が過ぎた行為は自粛して欲しいものだ。

画像は『Click2Houston 2019年5月8日付「‘You’re fired’: Heartless prank brings Walmart employee to tears」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)