錦織にツアー・ファイナル出場の可能性が浮上している【写真:Getty Images】

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3位デルポトロが今季絶望、9位錦織が圏内に…出場権はイスナーとの一騎打ち

 男子テニスの世界ランク4位フアン・マルティン・デルポトロ(アルゼンチン)が右膝蓋骨を骨折したと専属広報が発表した。年間ポイント上位8選手が参加できるATPツアー・ファイナル(ロンドン・11月11日開幕)出場権を獲得していた30歳の不運な故障で、世界ランク12位の錦織圭(日清食品)が2年ぶり4度目に参戦を果たす可能性が急浮上。米記者は「完全なる2頭立てレースに」と分析している。

 全米オープンで準優勝した好調デルポトロが再び故障に泣いた。11日の上海マスターズ3回戦、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)戦で右膝を故障した。専属広報ホルヘ・ビアレ氏はツイッターで右膝蓋骨骨折を報告した上で「すごく困難な瞬間だ。とても悲しんでいる。力が入らなかったことが痛手だった。リハビリについて考えることはすごく難しい。こんなことが起こるなんて思っても見なかったんだ」というデルポトロの悲痛なコメントも紹介している。

 手首の故障などで長期離脱を余儀無くされてきた名手にとっては、またしても悲運に。年間ポイントランク3位につけていたが、今季絶望とみられる離脱で、代わって錦織が賞金総額800万ドル(約8億9000万円)の大一番に大逆転で参戦を果たす可能性が浮上している。米紙「ニューヨーク・タイムズ」などに寄稿している米国人記者ベン・ローゼンバーグ記者は自身のツイッターで、デルポトロの悲報とともにATPファイナルの出場メンバーについても分析した。

9位争いはイスナーとの一騎打ち「完全なる2頭立てレースに」

「声明文ではデルポトロが今季終了とはっきりとは断言していないが、1か月以内にロンドンで開幕するファイナルズまでに骨折から回復し、間に合うと想像することは困難だ。デルポトロはすでに出場権を手にしているが、今や9位が出場権を手にすることになるだろう」

「9位はジョン・イスナーだった。大きなリードを手にしていたが、アジアツアーを欠場したことで、イスナーは今や10位。ケイ・ニシコリに70ポイント差をつけられてしまった。この2人の完全なる2頭立てレースになった。11位チョリッチはニシコリと700ポイント差だ」

 ファイナルに出場できる8選手の最後の1枠について、このように予想した。米国のビッグサーバー、イスナーは錦織を一時リードしていたが、中国オープン、上海マスターズとアジアの連戦に参加せず、ポイントを稼げなかった。一方、錦織は10月の楽天オープンで準優勝、上海マスターズ8強とポイントを積み重ね、イスナーとの9位争いで大逆転に成功していた。

 錦織は22日開幕のエルステ・バンク・オープン(オーストリア)と29日開幕のBNPパリバ・マスターズ(フランス)に参戦予定。競い合ってきた盟友の負傷離脱は錦織にとっても心中複雑だろうが、70点差という僅差にあるイスナーとのデッドヒートを凌ぎ切り、2年ぶりのファイナルに辿り着くことはできるだろうか。シーズン最終盤、にわかに注目が高まってきた。(THE ANSWER編集部)