Suica・ICOCAなどの交通系電子マネーやETC・Apple Payなど、現金を持ち歩かなくてもカードやスマートフォンで支払いが可能となる非接触型決済システムの導入が進んでいます。しかし、一方でキャッシュレス化の余波を受けているのが、観客からの投げ銭で生計を得るストリートパフォーマーです。ストリートパフォーマーを多く抱えるイギリス・ロンドンでは、世界初となる「非接触型決済で投げ銭を支払うことができるシステム」が試験的に導入されています。

Busking goes cashless with 'a world first' for London - BBC News

http://www.bbc.com/news/business-44271647

London launches world’s first contactless payment scheme for street performers - The Verge

https://www.theverge.com/2018/5/28/17402034/contactless-payment-busker-street-performer-london-izettle

イギリスの首都・ロンドンはストリートパフォーマーの活動を積極的に支援していて、市長のサディク・カーン氏主導でストリートパフォーマー支援団体「Busk in London」が設立され、世界中から集まったストリートパフォーマーがロンドンの至る所でさまざまなパフォーマンスを繰り広げるイベントが年1回開催されるほど。今回のプロジェクトはBusk in Londonと、スウェーデンの決済会社・iZettleが協力して進めているものです。



by Fred Langridge

少数のパフォーマーによって、iZettleの非接触型決済リーダーが数週間にわたってテストされました。ストリートパフォーマーはあらかじめリーダーに金額を設定しておき、ギターケースと共に自分のそばに設置します。



聴衆は現金だけでなく、非接触型決済リーダーにクレジットカードをかざすだけで投げ銭を支払うことが可能です。この非接触型決済リーダーは、クレジットカードの他にスマートフォン・スマートウォッチからの支払いも可能とのこと。実際にテスト運用に協力したストリートパフォーマーのシャーロット・キャンベルさんによると、今まで投げ銭をしたことないような人も寄付してくれるようになり、1人が寄付すると別の人がどんどん続きやすい傾向にあったと語っています。



ロンドンでは今後、ロンドン全域でストリートパフォーマーが非接触型決済リーダーを使えるように展開していく予定とのことです。サディク・カーン市長は「ストリートパフォーマーへの投げ銭によって、新人アーティストは才能を磨くことができ、大勢の前で演奏するチャンスを得られます。iZettleがこの画期的な計画を進めるためにロンドンという街を選んだことをうれしく思います。ストリートパフォーマーは現金だけではなくカード支払いによる寄付も受けられるようになり、ロンドン市民は華麗で才能あふれるロンドンのストリートパフォーマーを応援できるようになります」という声明を発表しています。

なお、ストリートパフォーマー用非接触型決済リーダーを製作したiZettleは、PayPalに22億ドル(約2400億円)で2018年5月に買収されたばかり。クレジットカード決済だけではなく、アメリカを中心に広く普及するPayPal決済に対応する可能性もあります。日本では、ストリートパフォーマーの他にもフリーマーケットや同人誌の即売会に応用できると非常にお役立ちなので、期待したいところです。