クルマの形状や視界が大きく影響する

 クルマに関する女子トークで、毎度のようにみんなが「ウンウン」と賛同するのは、「車庫入れを一発でキレイにキメる男子はカッコイイよね〜」という意見です。裏を返せば、それだけ女子たちは車庫入れに苦手意識を感じているということ。とくに、バックでの並列駐車、路上のパーキングメーターなどでの縦列駐車がイヤ! という女子が多発しております。

 最近は日産リーフの「プロパイロットパーキング」のように、スイッチを押しているだけでステアリングもアクセルもブレーキも、ぜんぶクルマが自動で操作して車庫入れしてくれる機能も登場していますが、自分でササッと停めるよりは時間がかかるし、やっぱりそんな機能を使わなくてもキレイに車庫入れできちゃうほうが、男子でも女子でもステキですよね。

 じつはクルマそのもののカタチだけでも、車庫入れしやすいクルマとそうでないクルマがあるんです。そして自動操作機能までいかなくても、車庫入れをラクにしてくれるお助け機能もたくさん登場しています。今回はそんなポイントを押さえた、車庫入れしやすいクルマをご紹介したいと思います。

 まず車庫入れしやすいクルマには、共通する3つのポイントがあります。

 シート位置やミラー調整で、しっかり適正な運転ポジションに合わせることが前提ですが、1つ目は視界が広く、なるべく死角が少ないこと。前はボンネットの両端、横はボディのサイドスカート部分、斜め後ろはリヤタイヤの位置が把握できればベストと言えるでしょう。

 2つ目は両サイドの平行感覚がつかみやすいこと。抑揚の強い、流麗なデザインのクルマは見た目は美しいですが、車庫入れのしやすさを優先するなら、なるべく直線基調のデザインがベターです。

 そして3つ目は、クルマの周囲をモニターに映してくれるカメラ機能が付いていること。これは、自分の目では完全に死角になってしまう真後ろを映してくれる、リヤカメラだけでもありがたいのですが、空から自車を見たように映してくれるものや、ステアリングの切れ角に応じてバックの予測ラインを表示してくれるものだと、駐車スペースの白線もしっかり確認できてなおいいですね。

 この3つのポイントが備わっていれば、駐車スペースの広さなど物理的な条件による違いはあるものの、クルマの大きい小さいはそれほど関係なく車庫入れしやすいと言えます。

 注意したいのは、軽自動車やコンパクトカーに多い、ルームミラーにリヤカメラ映像のモニターがあるクルマ。私の経験上の個人的な感想ですが、はっきり言ってこれはあまりオススメしません。画面は小さすぎるし画像は粗いし、夜なんて何が映ってるのかよくわからないので、結局役に立たないんです。

 あと、バックギヤに入れると左のサイドミラーが連動して、自動的に地面を映す角度に下がる機能もありますが、それも大きなお世話。バックで車庫入れするときって、地面の白線だけ見るんじゃなくて、隣のクルマや背後の景色も見ながらじゃないと不安なんですよね。

 それから、障害物センサーが付くクルマも増えましたが、それだけだとあんまりアテになりません。警報音だけじゃ、道端に生えてる雑草にまでピーピーと反応するものもあるし、何がそこにあるのか? ぶつかったらヤバイものなのか? わからなくてむやみに不安にさせられるだけ。障害物センサー+カメラが付いていれば、「あ、これに反応してるのね」とわかるので安心です。

インパネデザインなど運転のしやすさも重要

1)ホンダ・ステップワゴン

 さて、そんなポイントを踏まえてオススメしたい、車庫入れしやすいクルマ1台目は、ミニバン部門から。Mクラスミニバン御三家と言われるトヨタ・ヴォクシー/ノア/エスクァイア、日産セレナ、ホンダ・ステップワゴンはどれもボクシーなデザインと広い視界で車両感覚がつかみやすく、アラウンドビューモニターなどのお助け機能も充実。数あるミニバンのなかでは大きい割に車庫入れしやすいので、甲乙つけがたいのですが……。ここは僅差でステップワゴンを推します。

 理由は、ステップワゴンだけ、インテリアのデザインも水平基調で、平行感覚の取りやすさがグッと増していること。さらに、自車を真上から見たように映す「マルチビューカメラシステム」は、4つのタイヤの向きがどうなっているのかもわかりやすくて安心。

 駐車枠を自動で認識して、ステアリング操作をクルマがやってくれる「Honda スマートパーキングアシストシステム」の実用性もなかなかです。実際に私も、難易度の高いギチギチに狭いところの縦列駐車を、これに助けてもらったことがあります。

2)スズキ・ソリオ

 次にコンパクトカー部門からは、スズキ・ソリオ。どうしても丸みを帯びたデザインが多いコンパクトカーのなかで、ソリオは直線基調のボディ、四隅に配されたタイヤ、運転席からボンネットの両端も確認できて、車両感覚のつかみやすさが抜群です。

 クルマの前後左右4ヶ所のカメラで周囲の映像を確認でき、真上から見たような俯瞰映像も映る「全方位モニター」で、駐車スペースに対して自車がどんな角度なのかもしっかりチェックOK。先進の予防安全技術「デュアルカメラブレーキサポート」も付ければ、ペダルの踏み間違いによる事故を防ぐ「誤発進抑制機能」もあるので、うっかりミスをカバーしてくれるのも頼もしいですよね。

3)三菱アウトランダー

 続きましてSUV部門からのオススメは、三菱アウトランダーです。世界中で大人気のSUVですが、デザインをよく見ると流麗な抑揚のあるラインが多く、リヤガラスがキュッとすぼまった小さなモデルばかり。これって、車庫入れのしやすさにとっては致命的なんですよね。

 その点、アウトランダーのボディは直線基調に近く、ボンネットもしっかり運転席から確認できるし、何よりリヤガラスが大きく取られているので、後方視界や車両感覚のつかみやすさが優秀です。

 自車を真上から見たような「マルチアラウンドモニター」には、バックで進む予測経路が表示されるのでわかりやすいし、「後退時検知警報システム」では、ドライバーからは見えにくい、後ろを横切る車両や歩行者などを知らせてくれて安心ですね。

4)ダイハツ・ミライース

 そして軽自動車部門からは、軽で初めてアラウンドビューモニターを搭載した日産デイズや、先進機能満載のホンダ・N-BOXも捨てがたいのですが、あえてそれらは何も付いていないダイハツ・ミライースをオススメ。前後左右4つのセンサーで障害物を検知する「コーナーセンサー」は、メーター内のモニターにどこが障害物に接近してるのかがわかる表示が出るのですが、まぁこれは最初に説明したとおり気休め程度のものです。

 それでも、そもそものボディ形状、運転席からの視認性の良さ、ステアリングやアクセル・ブレーキの操作がとても自然で思い通りに動かせることなど、基本的なところがしっかりできているのが、ミライースの強みです。

 ハイトワゴン系のようにアップライトな運転ポジションではなく、こうしたベーシックな軽の中ではダンゼン車庫入れがしやすく、ビギナーさんでもまっすぐキレイに停められることでしょう。先進安全技術の「スマートアシスト3」が搭載されるグレードなら、ペダルの踏み間違いによる事故を防ぐ「誤発進抑制制御機能」が前方だけでなく後方でも作動するので安心ですね。

5)トヨタ・クラウン

 さぁ、ラストはセダン部門から、トヨタ・クラウン。女子の皆さん、「えーっ、それってオジサングルマでしょ〜」と言わないで。クラウンはタクシーをはじめ、大切なゲストを乗せるためのクルマとしても長年愛されているベストセラーモデルなので、運転のしやすさもしっかり考えられて作られたクルマなんです。

 お客さまを乗せているときに、何度も車庫入れで切り返してたら不安にさせちゃいますからね。最近のセダンはデザインや走り、燃費重視でリヤガラスが小さいモデルが多い中、クラウンの後方視界は広めで、ボディ前後の長さのバランスもいいため、思いのほか車両感覚がつかみやすいのです。

 先進技術もたくさん搭載されていて、もちろん真上から自車を見たような「パノラミックビューモニター」もあるのですが、その中でも秀逸なのが「シースルービュー」という機能。まるでシートやドアが透けているかのように、ドアの真横にあるブロックとか、子どもの三輪車とか、モニターでしっかり確認できるようになっています。駐車スペースの左右など、見通しの悪いところから出てくる歩行者などを検知して知らせてくれるのも安心。自動で駐車枠を検知して、スイッチを押せばステアリング操作をクルマがやってくれる「インテリジェントパーキングアシスト」も設定されてますよ。

 というわけで、車庫入れしやすいクルマたちをご紹介しましたが、けっこう大きめのモデルもあって意外だったかもしれないですね。運転が苦手な女子はどうしても、「小さいクルマなら大丈夫だろう」とサイズで選んでしまいがちですが、車庫入れしやすいかどうかはサイズだけの問題ではないんです。小さいクルマでもなぜか停めると曲がってしまうこともあるし、大きいクルマでもまっすぐ停めやすい場合も。ご紹介したポイントをチェックして、ぜひ車庫入れのデキる女子を目指してくださいね。