食道に炎症などの異常が起きている場合、食べ物が胸の辺りにつかえてしまい、飲み込むことができない事態も起きるようになる。そんな時、普通は胸を叩いたり、背中をさすったりするが、苦しい症状はすぐには治まらない。そんな苦痛を体験した人も少なくないだろう。

 また、逆流性食道炎と他の病の関連も注意が必要だ。
 「糖尿病を長年放置していると、糖尿病神経障害といって、末梢神経に障害が起きるとも言われています。食道の知覚や運動が鈍ってしまい、やはり逆流した胃液をスムーズに押し戻せないという症状が発生しやすくなる。加えて、高血圧の人も影響を受けることがあります。ただ、病気そのものが逆流に影響するわけではなく、高血圧の治療薬の種類によっては、胸やけや逆流性を引き起こすことがあるのです」(健康ライター)

 さらに、肥満の人も逆流性食道炎になりやすいと言われる。
 「逆流性食道炎になる原因の一つに、食道裂孔ヘルニアがあります。横隔膜には食道が通る食道裂孔という“孔”が開いているのですが、胃の一部がこの孔から飛び出してしまうのが食道裂孔ヘルニア。これは高齢の他、体重過多により腹部に圧力がかかっている人がなりやすいのです」(同)

 ところで、この逆流性食道炎には“なかなか薬が効かない”という説があったが、現在はそうではなくなっている。
 「一般的によく処方されているのが、胃食道逆流症の治療薬のPPI(プロトンポンプ阻害薬=胃酸の分泌を抑制させる薬)ですが、かつてのものは改善されるのが約7割程度。まだ課題が多い状況だったのです」(消化器内科医師)

 課題となっていた3割については、別のPPI薬への変更が検討されてきたが、そこへ『ボノプラザン』という新薬の開発が成功し、「酸に不安定」「効果が出るまで3〜5日かかる」「人によって効き目に違いがある」などの克服が期待されるものとして販売された。
 「この新薬の臨床試験では、投与初日からほぼ最大効果を示し、24時間にわたって安定した効果を示しています」(同)

 不快感は早めに解消し、年末年始を迎えよう。