あらゆるメジャー球団が「二刀流OK」と言い始めたが、相手の本音をさぐる必要がありそうだ

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 「二刀流は(メジャーでも)可能だと思う」。ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長(41)がそう言及したのをはじめ、ポスティングシステムを利用して米大リーグに挑戦する意向を正式に表明した日本ハム・大谷翔平投手(23)に対し、事実上の“ラブコール”が相次いでいる。ただし、メジャーでの二刀流継続は日本以上にハードルが高いのが実情だと多くの関係者が指摘する。「まずはふたつ(二刀流)をやれる環境があるのかどうか話を聞いてみたい」と胸を膨らませる大谷は、甘い誘い文句にだまされないように気を付けた方がいい。

 「(二刀流を)やりたい、やりたいという自分の気持ちだけで通るわけはない。日本ハムの時もそうでしたが、受け入れてくれる態勢や環境があって初めて成り立つものです」

 大谷は11日の記者会見で慎重に言葉を選んだ。逆に言えば、二刀流継続に明確なプランがあるかどうかが来季所属球団を選ぶポイント、とも受け取れる。

 これに対し、ドジャースのフリードマン編成本部長は「二刀流はその能力のある選手であれば可能だ。創造的な日程調整が必要ではあるが」と言及。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM(50)も来日し大谷が先発した8月31日のソフトバンク戦(札幌ドーム)を直接視察するなど獲得に色気を見せ、今季限りで解任されたジョー・ジラルディ監督が「彼(大谷)は間違いなく魅力的だ。DHに入ればロースターのスポットに余裕ができ、(従来1人多い)6人で先発ローテーションを組むことが容易になる。これまでと違う戦術が可能になる」と熱弁を振るったこともある。

 しかし、ドジャースの地元紙ロサンゼルス・タイムズ(13日)がメジャー各球団の本音を、次のように伝えているのは見逃せない。

 「二刀流の実現を提示すれば、大谷を獲得できるチャンスだ。ドジャースは新労使協定のために契約金を30万ドル(約3400万円)しか支払うことができないが、幸運なことに彼の移籍先選びの最大の要因は金銭ではない。彼が希望しているのは、日本ハムのように彼を(二刀流で)成長させる明確な計画を持っているチーム。だが、たいていの大リーグ球団は大谷を打者としてでなく投手として評価している」

 大リーグの各球団が欲しいのは、最速165キロを誇る投手としての大谷で、打線の主軸に据えることを想定するほど打者として評価している球団は少ないというわけ。入団当初は二刀流にチャレンジさせるものの、いずれは打者を諦めさせ、投手に専念させようという腹づもりが見え隠れする球団ばかりだ。

 このあたり、「いまは(二刀流を)期待してくれている人がたくさんいる。もう自分だけのものではないのかな、というのもある」と自負をにじませる大谷は、各球団の本音をよくよく見極める必要がありそうだ。

 一方、ある大リーグ関係者は「二刀流が可能だとすれば(DH制の無い)ナ・リーグだ。まず投手として打席に立てる。メジャーでは先発の球数は100球程度に制限されていて、投手は2打席で代打を出されることがほとんど。3打席目に立つことは少ないが、大谷に限っては3打席目を与え、さらに登板間には代打で使い、年間10試合ほどあるインターリーグ(交流戦)ではDHとして起用する」と具体的な起用プランを提言。

 メジャーの先発ローテーション投手は年間30登板ほどをこなすが、1年目で23歳と若い大谷にいきなりフルに登板することを望むのは酷で、「20試合くらい先発できればいい方。それで60打席。代打と交流戦で50打席ほど。合計で100−110打席を経験するのが現実的なラインだろう。1年目からフルでなくても、少しずつ信頼を得てできることを広げていけばいい」と見ている。

 日本ハムでは投手として週に1度先発し、その間に休養を挟みながらDHでスタメン出場するケースが多かったが、メジャーにそのまま当てはめることは難しい。

 同関係者は「一見DHのあるア・リーグの方がやりやすそうだが、マイナー契約の大谷の都合で、おおむねシーズン30本塁打以上をマークし10億円以上の年俸を得ているレギュラーDHの出場機会を奪うのは現実的ではない。小さい都市圏のチームで年俸が比較的安いDHなら、トレードなどでポジションを空けることも可能だろうが、ヤンキースやレッドソックスなどのビッグクラブでは無理だ」と指摘する。

 前出のロサンゼルス・タイムズも「小さな市場規模の球団ならば、大谷に二刀流を試験的にやらせていくことはできるかもしれないが、ワールドシリーズを狙うような大きな球団にその余裕はない。大谷のアドバイザーは、9月に『彼はドジャースやヤンキースのようなチームとは契約しない』と言っていたが、それがこの理由だ」と指摘している。

 大谷としては、各球団の二刀流プランを慎重に見極め、自分に合ったスタイルを選択したうえで、メジャー流にアレンジしていくことも必要になりそうだ。