オーストラリアのマラソン大会で、Troy Austinさんは空のベビーカーを押しながら42.195kmを完走しました。

あなたがレースの参加者だとして、この光景を目の当たりにしたら、どんな反応をするでしょう。

そのままそっとしておく。なんで空のベビーカーを押しているのか、理由を聞く。頑張れと励ます…。人によって、対応は異なるでしょう。Troyさんは、走っている途中に多くの人からかけられた言葉について、考えたことを教えてくれました。

息子の死を知ってもらうために
押し続けるベビーカー

まずは、Troyさんの事情についてから。

彼とパートナーは、やっとの思いで新しい生命を授かりました。お腹の中で元気に動くT.G.が少しおとなしくなったのは、27週目をすぎたあたり。きっと休憩しているだけで、また力強くお腹を蹴ってくれるだろうと、2人で話しながら妊婦健診に行ったそうです。そして、医師から告げられたのは、現実として受け止めるにはあまりにも残酷なものでした。

彼の心臓は止まっている。

希望が絶望に変わったのは一瞬。それまで死産のことなど頭に浮かぶこともなかった、とTroyさんは振り返ります。死亡届を出したのち、T.G.を出産するために、また病院に向かいました。

「彼が息をしていないと知りながらもする出産。お腹の中から出てきたときのために用意した洋服は使えない。ベビーカーも空のまま。それでも、T.G.はとても美しかった」

この大きな悲しみを払拭するためにTroyさんがとった行動は、“スポーツ”でした。彼の死後、トライアスロンやマラソン大会に出場したようです。そして、「T.G.のことと、死産について知ってもらおう」という想いから、彼は空のベビーカーを押して走ることを決意しました。

労いの言葉をかける人と
心ないジョークを放つ人

そして、大会当日。やはり、多くの人の目を引いたようで、Troyさんにはたくさんの労いの言葉と「赤ちゃんを亡くしたのかい?」という質問がされたそう。彼はこれに対しての想いを明かしてくれました。

T.G.について、質問をされるたびに『ああ、本当に彼はいないんだな』と実感した。同じ人から同じことを聞かれると、少しイライラしたのも事実。

だけど、疑問に思った人に自分の子どもについて知ってもらえたのは良かった。会場のアナウンサーが僕とT.G.のことを話してくれた時には、とても嬉しかったしね。

だけど、『ベビーカーに乗せてよ』という類の言葉は気をつけてほしいと思う」

「最後の最後に赤ちゃんと一緒にゴールをする気かい?」や「疲れたからベビーカーに乗せてよ?」という心ない言葉をかける人もいたそう。

Troyさんは、ジョークのつもりだったのだろうと寛容な心を見せていますが、あなたが発言する内容だって、ときに人を傷つけてしまう可能性もある。そのことを認識しておく必要があるんじゃないでしょうか。

Licensed material used with permission by Troy Austin