安倍晋三首相は、今月28日に召集される臨時国会の冒頭に衆議院を解散する方針だとされる。主要メディアは「森友・加計隠し」「大義なき解散」などと批判を強めているが、その一方で永田町関係者の間では、解散の背景として次のような噂が囁かれている。

「安倍首相が早期の解散総選挙を決断したのは、米国から『12月以降、北朝鮮を攻撃する』と伝えられたからだ。北朝鮮が反撃して全面戦争になれば、選挙どころではなくなる。第2次朝鮮戦争が日本にもたらすダメージを耐え抜くためにも、今のうちに政権の足場を固め直さなければならない」

実在する「先制攻撃計画」

筆者は近年、これほどのバカ話を聞いた覚えがない。ハッキリ言って、これは与党側が流すでまかせである。もし、与党関係者があなたにこんな話をしたら、「いい加減にしろ、この野郎」とでも言って、本気で怒るべきだ。

今後、米国と北朝鮮の間で戦争が起きるとしたら、それは核戦争に発展する可能性が高い。遅かれ早かれ追い詰められることになる北朝鮮は、韓国や日本に核ミサイルを撃ち込み、米国と同盟国を巨大な混乱の中に叩き込もうとするだろう。それが現実のものになる可能性が高まったら、ニューヨークや東京やソウルの株価はどうなるのか? その一点を考えただけでも、日米韓の政権は金縛りになってしまうのである。

この巨大なリスクを克服できない限り、米国が北朝鮮攻撃に踏み切ることはない。

より自分の身に引き寄せて考えるために、弾頭に水爆を搭載したミサイルが日本に着弾したら何が起きるかを想像してみよう。「よくわからない」という人は、ユーチューブで「水爆」と検索して、爆発シーンを見てから想像してみて欲しい。こんなものが日本国民に向けて飛んでくる状況を米国が作ろうとしているときに、安倍首相は「やめてくれ」とトランプ大統領を説得することもせず、唯々諾々と「はい、そうですか」と受け入れるのだろうか。その時点で首相失格である。

そもそも、本当に戦争が起きたら自民党が選挙で負けることはまずない。ほぼ無風の信任投票で長期安定政権となるはずだ。「戦争が起きるから、今のうちに選挙を…」というのは、まったく筋の通らないデタラメなのだ。

もっとも、筆者は朝鮮半島で戦争が起きる可能性がまったくないと言いたいわけではない。実際、米国政治の中枢には、北朝鮮に対する「先制攻撃計画」と言うべきものが存在する。

また2015年8月、朝鮮半島の南北が対峙する軍事境界線で北朝鮮の地雷が韓国軍兵士の身体の一部を吹き飛ばし、軍事的緊張がエスカレートした際には、本当にヤバい空気が漂った。

(参考記事:【動画】吹き飛ぶ韓国軍兵士…北朝鮮の地雷が爆発する瞬間

しかしあの時、日本政府と主要メディアの反応は、いたってのんきなものだった。本物の危機を認識できず、作り話で国民の危機感を煽ろうとする永田町の体質こそが、いちばん危険であるとすら感じる。