中古車市場では、これまで安全装備はサンルーフやナビゲーション、本革シートなどと異なり下取りや買取時のプラス査定とならなかったため、販売価格にも反映されませんでした。

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しかし、ドライバーの高齢化や昨今のペダルの踏み間違い事故の多発によってユーザーの意識が変わり、新車だけでなく、中古車でも安全装備の有無が価格に大きく反映されるようになりつつあります。

査定の基準は安全装備が装着しているクルマが標準となり、装着していないクルマの価格は安くなるという傾向が強まっていくのは確実です。

中古車の場合、価格に影響を及ぼす人気にも変化が見られます。

例えば2015年末に登場した現行型トヨタプリウス。先代までは登場から1年は新車の納期が長く、中古車も相場は高値安定でした。しかし、現行型はすでに約900台の中古車が市場に出回っており、わずか3カ月で平均価格が10万円以上値落ちしています。

これは中古車におけるプリウス人気に陰りが出始めたといえるのかもしれません。

一方の先進安全装備アイサイトを搭載した先代のスバル・インプレッサスポーツは、フルモデルチェンジ直後に走行距離の少ない未使用車が市場に出回ったことで平均価格は172万円まで跳ね上がりましたが、現在は3カ月前とほぼ同じ166万円で推移しています。

注目は流通台数で、3カ月前は260台程度でしたが現在では500台弱と増えているにもかかわらず相場は横這いというのは、アイサイトを目当てにインプレッサスポーツの中古車を購入するユーザーが増えているという指標の一つになります。

ただし、先進安全装備は日々進化しています。特に軽自動車では衝突回避軽減ブレーキに赤外線レーザーを使用していましたが、現在ではステレオカメラもしくは単眼カメラとレーダーレーザーが主流になりつつあります。

やはり中古車とはいえ、安全装備を重視するのであればできるだけ高年式車を手に入れるほうが良いと思います。

そしてもう一つ、中古車は購入の方法が変わっていきそうです。

従来は中古車販売店から購入していましたが、今後は個人間売買が増えると考えられます。

国土交通省によると、国内の中古車の個人間売買はわずか6%。アメリカの29%、イギリスの42%など、欧米に比べるとかなり少ないです。これは中古車購入時の課税と関係がありますし、日本の場合、名義変更や車検手続きなど手間がかかるからです。

しかし、最近は大手買取店では要望があれば、名義変更や車検・整備代行してくれるサービスも始めています。できるだけ安くクルマを手に入れて、手間の掛かる手続きや整備にお金を使うという買い方に移行しはじめるのではないでしょうか。

その理由の一つとして、個人間売買では30万円以下の低価格車が現在のところ主流で、できるだけ安く手に入れて、壊れるまでもしくは次の車検まで乗れれば良いというユーザーが多いことからもわかります。

その一方で、フェラーリやポルシェといった高級輸入車も個人間売買されることが多いのも事実です。

年式や走行距離などに制限を求めて、できるだけ品質を揃える努力なども行われていますので、中古車の個人間売買は現在の6%から増えることは確実でしょう。新車のネットによる販売と同様に中古車も展示場に行って購入する時代から変わりつつあるようです。

(萩原文博)

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