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 韓国日報によれば、「崔順実ゲート事件」で一人のコメディアンが注目されている。韓国放送局SBSのお笑い番組「ウッチャッサ(笑いを求める人々)」に出演しているチェ・グク(41)だ。

 彼のネタは「私の親友は大統領」。今年の4月にコーナーは終了したが、今月の16日再びコーナーが復活した。

「コーナーが復活したのはとても嬉しいことだが、その理由を考えると少し寂しくもあります」

 チェが大統領を演じるこのネタは、大統領の幼馴染みが、馴れ馴れしく私的なお願いをする内容となっている。これが「崔順実ゲート事件」以降、視聴者からは「現在を予言したコント」として話題となっているのだ。

 コントでは、大統領の親友が青瓦台の庭に唐辛子を干そうとしたり、妹の結婚式の受付をお願いしたりする。大統領が、オバマ大統領との会談があると言っても、「オバマと親友と、どっちが大切なんだ!」と取り付くしまもない。

 チェは、「はじめは大統領も、誰かにとってはただの親友というアイデアから生まれたコント。多少は風刺的な内容も込めたが、それよりも大統領に対する親近感を感じてほしかった」と言う。

◆ギャグが怖いほど現実になっていく

 コントでは「この演説文の読み方がおかしい、他の誰かが書いたかのように」とか、「占いでは中年運は良いのに(だから大統領になった)、後年はたいしたことない」などのセリフがあり、まさに今起きているスキャンダルと合致する。

 さらには親友たちが、大統領談話で自身が経営する豚足屋を宣伝してくれと言ったり、村の知人を長官に任命してくれと言ったり、恐ろしいくらいに現実とマッチングする。

 これには後日、チェ自身も鳥肌が立ったという。

「視聴者を笑わせようと作ったコントが、怖いくらいに現実になっていく。ただのギャグが時事風刺になってしまった」

 事件を受けて16日に復活したコーナーでも「大統領の親友たち」は自由奔放だ。

「青瓦台も見学し、ご飯も食べていこう」と言ったり、「村にゲートボール場を作るから、あんた(大統領)が言って、社長たちから寄付を募ってくれ」など。しかし、復活した「大統領」は一味違う。「私的な関係で青瓦台に立ち入ってはいけない!」、「大企業に寄付を募る大統領がどこにいるんだ!」と激昂する。

 客席からは歓声と盛大な拍手が沸き起こった。

 最後に「大統領」が歌う。

「過ぎていく。この苦痛は必ず終わる。私自身を慰め、一日一日粘り、夢を見る。この苦境の終わりを」

 放送は16日だったが、撮影は10日。被疑者に成り果てても、いまだ「大統領」であり続ける朴大統領の今を、奇しくも言い当てている。月曜と水曜にリハーサルをするが、日ごと疑惑が報道されるので、コントの内容も変わってしまう。

 正直、怖いとチェは言う。見えない圧力により番組を降板させられるかも知れない。

 しかし彼は「風刺するネタが尽きるまで、視聴者に笑いを届け続ける覚悟です」と語る。

 嘘から出た真(まこと)。

 韓国の大統領を取り巻く疑惑の数々は、国民にとって、もう笑うしかないレベルのものである。

<文・安達 夕>