(写真提供=SPORTS KOREA)

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“陰の実力者”などと呼ばれている崔順実(チェ・スンシル)氏のスキャンダルで、朴槿恵大統領に退陣を求める声が相次いでいる。

韓国の大手ポータルサイトでは、「朴槿恵 弾劾」というキーワードが検索ランキング1位を占め、また大学生や市民団体も「退陣」を要求しているという。

10月29日にはソウルで1万人(主催者側発表、警察は3000人と推算)の市民たちが「朴槿恵、弾劾」を叫ぶデモを行った。

ここでいう「弾劾」とは、検察期間による訴追が事実上困難な大統領や裁判官などとを国会で訴追し、解任したり処罰したりすること。

同じく、官職や政界からの引退を意味する「下野」という言葉も出てきた。10月31日、トブロ(ともに)民主党は緊急議員総会の結果について、「国民の憤怒が大統領の下野と弾劾にまで至っている点を注目しなければならない」と話した。

韓国大統領を退陣に追い込む方法

要するに「朴槿恵大統領は去れ!」ということだが、実際のところ朴槿恵大統領を退陣させることは非常に困難だ。

その難しさは、韓国の憲法を見ればわかる。

大統領に対する弾劾訴追案が可決されるためには、まず国会在籍議員の過半数の発議が必要だ(憲法第65条1項)。韓国の議席数は300。現在、与党であるセヌリ党は129議席で、民主党121議席、国民党38議席、正義党6議席、無所属6議席となっている。

つまり、野党と無所属を合わせると171議席になり過半数を超えているため、弾劾訴追案を発議すること自体はそれほど難しくない。

しかし、弾劾訴追案が議決されるためには、国会在籍議員の3分の2以上の賛成が必要(憲法第65条1項)。現在の状況で具体的にいえば、野党や無所属がすべて賛成したとしても171議席であるため、最低でもセヌリ党29人からの賛成を得る必要があるわけだ。

さらにハードルがもう一つ。

国会で大統領の弾劾案が可決したとしても、憲法裁判所で裁判官9人中6人以上の賛成があって初めて大統領を弾劾できる(憲法第113条1項)のだ。

現在の憲法裁判所の裁判官たちは李明博、朴槿恵政権時代に任命された人物。一般的に、保守性向が強い裁判官たちだといわれている。そのため、6人以上の賛成を得ることは難しいというわけだ。

まとめると、野党が仮に弾劾案を発議したとしても、国会での可決と憲法裁判所の賛成が得られる可能性が低く、朴槿恵大統領を退陣に追い込める可能性はほとんどないということ。弾劾を発議しても結局のところ大統領が居座るのであれば、国民の批判の声が今度は野党側に向かうリスクもあるわけだ。

唯一の方法は“辞任”しかないが…

唯一といっていい方法は、大統領自らが申し出て辞めること。つまり“辞任”だ。

実際に、韓国の歴代大統領で辞任した大統領はいる。

まず初代大統領の李承晩だ。彼は四選を狙った不正選挙で第4代大統領になったが、4.19革命で失脚して辞任。それから3日後にハワイに亡命することになった。

また、第10代大統領の崔圭夏も5・17クーデターによって、軍部に政権を掌握されて辞任している。

韓国の大統領は、「内乱または外患の罪を犯した場合を除いては、在職中刑事上の訴追を受けない」(憲法第84条)。そのため、何か不正を行っているのであれば、任期が満了するまで大統領の座を手放すメリットはどこにもない。

朴槿恵大統領が“崔順実スキャンダル”でどのような結末を迎えるかは定かではないが、彼女を“辞任”以外で退陣させることは現実的に難しそうだ。

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(文=S-KOREA編集部)