(gettyimages)

写真拡大

電通の新卒社員の自殺をきっかけに長時間労働が議論の的になる中、24日、はてな匿名ダイアリーで、残業が禁止になった職場に属するとする人物が、1年経った状況を匿名で投稿し、話題となっている。

このユーザーは「定時退社を導入するとどうなるか」という題で、日記を投稿。なんでもこのユーザーの職場では、「サービス残業・休日出勤・持ち帰り残業も厳禁」というルールが1年前から導入されているそうで、記事ではその結果をレポートしている。ユーザーによれば、残業厳禁によって、3つの変化があったそうだ。

ひとつめは「『余計な仕事」』をしなくなる、命令できなくなる」ということ。残業厳禁となっても仕事量は変わらず、かつ増員配置があるわけではない。そのため「仕事の量は変わらないし、締め切りも変わらない。だから、皆『余計な仕事』を減らすようになる」「余計な時間の仕事は全て悪なのだから、時間のかからないように仕事をしなければいけないし、そのように命令しなければいけない」そうだ。

2つめは「ボトムアップからトップダウンになる」という。「部下の方から採用されるか分からんのに『こうした企画はどうですか?』という作業は全て無駄になる」「上司から命令される仕事だけで手いっぱいである。だから、必然的に仕事はボトムアップからトップダウンとなる」とのこと。

またユーザーは「このように文化を変えないと多分どこの会社も失敗する」と指摘。「上司から部下に指示する時も当然漠然とした指示ではだめで、具体的に指示する必要がある」と綴った。

3つめは「会議・ミーティングが減る」。「会議は一番時間の無駄なので、削減される。このためますます合意形成という形ではなく、上意下達方式になる」という。

ユーザーは以上をふまえて「会社の意思決定を完全にトップダウンにしないといけない」「部下は命令されたこと以外はやらないものと心得なければいけない」「その仕事がはたして定時に終わるか考えながら上司は命令しなければいけない」「会議・ミーティングは時間の無駄だから減らさなければいけない」と、残業禁止の状況に必要な要素を総括した。

そして「(以上)ができないと定時退社制度は失敗して、ただのサービス残業強要になってしまう」との恐れをあげ、「定時退社制度は会社の文化をかえるということだ。本当に変える意識の会社がどれだけあるだろうか」と定時退社を実現することの困難さを語っていた。

またユーザーは「この1年を通じて勤労意欲は激減した」と実感を語る。「他人の仕事を進んで手伝う事もしなくなったし、突発的な仕事や他人から頼まれる仕事を憎むようになった」「新しい仕事の企画も考えるだけ無駄なので考えなくなった。(もちろん正式な仕事として割り振られれば別だが。)」と明かしている。

ユーザーは最後に「しかし、ある意味会社は誠実に社員を部品や機械として扱うようになったのだともいえる」「ブラック企業は、実際には社員を部品や機械にしか思ってないくせに、まるで経営陣であるかのように働かせようとする」「こうした企業に比べると、わが社は極めて誠実と言える」と自社をフォローし、投稿を締めくくっている。

なお、連合(日本労働組合総連合会)が2014年に20歳〜59歳の男女雇用労働者(正規労働者・非正規労働者)3000名を対象に実施した調査によると、残業が発生する原因の最多回答が「仕事を分担できるメンバーが少ないこと」で53.5%、僅差で「残業をしなければ業務が処理しきれないほど、業務量が多いこと」52.6%となり、職場のメンバーが少ないことや業務量が多いことに原因を感じている人が多いことがわかっている。

残業が禁じられ働く時間が限られてしまうと、「『余計な仕事」』をしなくなる」という状況は、この調査結果と符合しているといえるだろう。

【関連リンク】
定時退社を導入するとどうなるか

【関連記事】
電通本社への抜き打ち調査 開始直後に報道されTwitterで疑問の声
お寺の住職が定時退社する若手社員に苦言「もうちょっと頭使え」
電通社員の過労自殺 「情けない」と批判する声に失望するツイートが大反響