「騙されてAV出演」ユーチューバー・くるみんアロマさん動画公開「抑止力になれば」
アダルトビデオ出演強要問題が大きくクローズアップされる中、「事務所に騙されてAV女優になった」と公表したユーチューバーがいる。アロマの効用について紹介する動画や、外国人にインタビューした動画などをYouTubeに投稿している、くるみんアロマさん(26)だ。
7月に朝日新聞「withnews」のインタビュー記事に登場し、8月29日からは、過去のAV出演に関して語った動画を全6回にわけてアップしている。彼女はどういう思いから過去を告白し、今回の動画を投稿しているのか。出演の経緯を含めて聞いた。
<動画>【AV出演強要】くるみんアロマさんが過去を語る理由
https://www.youtube.com/watch?v=jxyt6EZfF-Q
●「AV出演したら音楽させてあげる」といわれた−−どうしてAVに出演することになったのか?
大学生だった2011年夏、新宿でスカウトから「グラビアできる人を探してる」と声をかけられたのがきっかけです。当時、グラビアをやりたいと思っていなかったんですが、高校時代にバンドサークルをやっていたこともあり、漠然と「音楽をやりたい」という気持ちがありました。
スカウトからも「グラビアにでたら、音楽のデビューもさせてあげる」としつこくいわれて、だったらと思って話を聞くことにしました。そのあと、芸能事務所の社長を紹介されて話がすすみ、就職も決まっていたけれどやめて、事務所に入ることになりました。
その年の秋、社長と一緒に雑誌の面接に行くことがありました。水着のグラビアの仕事だったんですが、わたしも22歳でギリギリだったので「ここでやるしかない」と思っていました。そのとき、社長は「この子はヌードもできます」といったんです。
びっくりしましたが、大手出版社ということもあり、なかなか受かるところじゃないと考えて、「できます!」といってしまったんです。そして、面接に受かったあと、撮影があり、週刊誌にヌードが載りました。
−−音楽の仕事はやらせてもらえた?
そういう仕事はまったくありませんでした。それで「仕事はないのか」と聞いたら、社長は「まずはAVに出よう。それから、音楽でも何でもやっていいよ」「AVに出演しても、歌を歌っているグループもある。時代は変わったから」といわれました。
当時、わたしはAVに対して、少なからず偏見をもっていました。だから「出たらアウトですよね?」といったんですが、事務所の人たちから「脱いだほうがかっこいい。中途半端にグラビアよりいいよ」と説得されました。
また、わたしが好きなアーティストの名前を出して、「おれの子どもが、その人の知り合いだから今度会わせてやるよ」といわれたこともありました。本当にバカだけど、それまで『人はウソをつかない』と思っている人間だったので、信じてしまいました。いまから考えると、すべてがウソだったんですが…
●初めての撮影…終わるまで帰してもらえず−−撮影はどうだった?
わたしは元々、そういう行為自体が好きじゃなくて、痛かったし、出血もありました。だけど、終わるまで帰してもらえません。何度も泣いて、何度も撮り直しがつづきました。
撮影スタッフからは「あなたみたいに時間のかかる人は初めてだ」「みんな家族がいるんだ。あなたが頑張らなかったら、みんなの家族全員の生活がなくなるんだよ。あなた背負えるの?」って怒鳴られました。
事務所のプロデューサーも「ここのメーカーは大きいから、あなたがちゃんとやらなかったら、ほかの女の子も出演できなくなるでしょ」って。だから、死ぬ気でやりましたよ。朝から深夜まで撮影がつづいて、最後はタクシーで帰りました。
わたしは、そのあと音楽ができるといわれたからやっただけで、AVに出演したいとは1%も思っていませんでした。
−−どうしてやめることになったのか?
2本目の撮影が終わったあと、事務所から連絡がなく、給料も入らなくなりました。そのあと、突然スカウトから呼び出されて、「社長がお金を持ち逃げしたから、事務所がなくなった」と告げられました。
スカウトからは、別の事務所に移籍という話がでました。「そっちでは音楽もやらせてあげる」といわれたんですが、その事務所を調べると、女の子はみんなAV女優だったんです。事務所に入っても先が見えず、音楽もできないと思ったので、「ギャラはいらない」といってやめさせてもらいました。
●「自分の生きざまを伝えたい」−−出演したことに後悔はないか?
もちろんありますよ。「過去にそういうことがあったことがバレたら…」という考えが心のどこかにありました。そのせいで、自分に自信がなかったり、踏み出せないこともありました。ほんとに悔しいです。
だけど、後悔しても仕方がないから、今は前向きに考えるようにしています。YouTubeにも出会って、苦しみや悲しみも表現した人間になろうとしています。それが、わたしの表現の一つだと考えています。
−−どうして告白したのか?
ずっと隠したい過去でした。恥ずかしいことだし、騙されてかっこ悪いし、普通ならいいたくないことです。売名といわれたり、うしろ指はさされるかもしれないなど、メリットはないと思ったけれど、こうした被害が今も起きていて、なかには自分の命を絶った方もいると聞きました。
そんな女の子がほかにもいて、これからも出てくるかもしれないということが許せません。わたしが告白することで、望まないかたちでAVに出演して悩んでいる人を減らせるんじゃないかと思いました。
−−今後どういうことを伝えていきたいか?
わたしはユーチューバーで稼げているわけでもなければ、有名になりたいわけでもありません。嫌われる存在でもいいけど、自分の生きざまをたくさんの人に伝えたいと思っています。
女の子もそうだし、騙そうとしている悪い人にも、心のどこかに留めとおいてほしい。なにかの抑止力になるんじゃないかと思っています。
そして、望まないかたちでAVに出演しても、何とかやっていこうとしている人がいることを知って、元気になってくれる人がいたらうれしいです。
<動画>AV出演強要、ユーチューバーの過去「音楽デビュー信じた自分」
https://www.youtube.com/watch?v=a4ZCgdALkN8
https://www.youtube.com/watch?v=Oeop60MmzIo
https://www.youtube.com/watch?v=raFSSgiQFGU
https://www.youtube.com/watch?v=jqp_P0eNgxw
https://www.youtube.com/watch?v=xf9IU6b2FjE
https://www.youtube.com/watch?v=dZB21o7DmyE
(弁護士ドットコムニュース)