お土産っていわゆるひとつのリア充アピール!?

オフィスのお土産マナーについて紹介している今月のビジネスマナー診断。最終回は、一番の悩みどころともいえる、そもそも「買うか買わないか」について。

一緒に働く方や、自分が休んでいる間にフォローしてくださった方に対して、日ごろの感謝の気持ちを込めるお土産はマナーとして必要、最大2000円程度の小分けのお菓子程度は買っていったほうがよい、というのがベーシックなマナーということはすでに紹介済みですが、では、こんな場合はどうでしょう。

どこにもいかなくてもお土産を買うべき?

電機メーカーに契約社員として勤務し、4年目になる佐々木美佐さん(仮名・32歳)。正社員同様、8月に夏季休暇として5日の休みありますが、今年は家にいる予定。

「勤めている会社は、社員一斉に夏休みを取る会社なんです。でも、私は時給なので、5日も休みが増えるとダイレクトに収入に響いてしまう。そこで遊びに行こうものなら、生活がままなりません。今年は部屋の片付けでもしながらおとなしく過ごすつもりなのですが、同じ部署の方々は、全員、夏休み明けの出社日になにかしら買ってくるんですよね。お土産祭りのような状態です。私も東京駅や『ドン・キホーテ』などで、地方の特産物などを何かみつくろって買っていったほうがいいんでしょうか」

鈴木真理子先生に教えていただきます。

お土産は贈る相手のためだけにあらず

お土産をもらってばかりだと気が引けてしまう……。わかります、その気持ち。でも、どこにも行かないのなら、わざわざ買うことはないでしょう。
お土産は贈る相手のためであると同時に、自分のためでもあると思うのです。出かけた先で買う楽しみ、職場に帰ってみんなに配る楽しみをあなたも味わったことはないですか? それって旅行の延長で、楽しい余韻が残っている証拠ではないでしょうか。

以前に、ビジネスマナーとして感謝の気持ちをお土産に込める、とお話しましたが、それは出かけた場合は、ということ。お土産を買うことそのものがビジネス女子マナーなのではありません。いつかあなたが旅行や帰省をしたとき、買いたいなと思ったときまで保留にしておけばよいでしょう。

必要以上に恐縮しないこともマナー

自分はお土産を買ってきていないので、ほかの方が買ってきたものにも手をつけないという人もいますが、それだと人嫌いの頑固者に見えてしまいます。せっかく買ってきたのに、喜んでもらえなければ寂しいものです。お土産をいただきながら、楽しい旅のお話を伺うことこそ、よいマナーといえます。よくいただく人には、「いつもお心遣いありがとうございます」「いただいてばかりで……」と受け取るときにひと言添えればOKですよ。

お土産を喜ぶ人ばかりではない

とはいえ、会社にお土産を買っていくことが、義務になってしまうのは面倒なものですよね。
実は私の知人が、「○○さんって全国に出張してはお土産をくれるでしょ? それまではウチの職場ってお土産を渡す習慣がなかったのに。仕方がないから私もときどき買うんだけど、ハッキリ言ってムダづかいだし迷惑よね」と陰で言っていました。

別の人は、「出張していることが自慢なんじゃない? 私たち内勤だから出張なんてしないもんね」と、これまた不満を口にしていました。お土産をもらっても嬉しい人ばかりではないのです。今回のケースでも、佐々木さん本人は気が重い、そして、もしかしたら、毎回お土産祭りになると歯止めが利かなくなるのでは……と思っている方もいるかもしれません。人間関係はバランスが大切。自分もハッピー・相手もハッピーなのかよく観察しましょう。



■賢人のまとめ
お土産は「買いたい」「贈りたい」と思った自分のためのものでもあります。
どこにも行かないのであれば、お土産をわざわざ買う必要なし。
自分はお土産がないのにいただく場合でも「いつもお心遣いありがとうございます」と心からの感謝の気持ちを伝えましょう。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『もう必要以上に仕事しない!時短シンプル仕事術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部に迫るヒットとなる。 

(株)ヴィタミンMサイトhttp://www.vitaminm.jp/