米国公認会計士でフリー・キャピタリストを名乗る午堂登紀雄さんが様々なビジネステクニックや頭の使い方を紹介する、メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』。今回はズバリ、「仕事が速い人と遅い人の違い」です。一生懸命仕事をしているのに仕事が遅い。そんな人には「6つの共通点」があるようです。ビジネスマン必読の内容ですよ!

仕事が速い人は時間当たりの密度が高く、遅い人は低い

仕事をしていないように見えるのにデキる人は、時間あたりの生産性が高い。

それは集中したときの爆発力があるということであり、時間密度が高いということだ。

反対に、仕事が遅い人は時間密度が低いため、生産性も下がり長時間労働にもなりやすい。

ではどうすれば時間密度を高めて生産性を上げることができるか。

それは、自分が最も集中できる時間帯や環境を把握し、そのタイミングで最も重要な仕事をやることだ。

たとえば自分が集中できる時間帯が朝であれば、そこに最も重要な仕事を充て、それ以外のタスクは後回しにする。

たまに、出社して新聞を読みながらコーヒーを1杯飲んでから、あるいは喫煙室で一服してから仕事に取り掛かるという人もいるが、それすらショートカットして仕事に取り掛かることだ。

ほかにもたとえば、あまり重要でないメールの返信や経費清算、業務日報を書くといったタスクは午後にして、可能ならば会議やミーティングは入れず、電話をとらないようにすることだ。

もちろん、新人であれば電話に出ないというのは難しいし、午前中の会議をボイコットというわけにはいかないなど、自分の立場や環境によってできる範囲は変わる。

そこで、朝早く出社して誰も話しかけてくる人がいない、電話もかかってこない環境で仕事に取り掛かるという工夫も必要だろう。

いわゆる「前残業」という発想だ。あるいは誰もいない会議室にこもるとか、外出が許されるならカフェで仕事という方法もある。

また、環境を整備することも生産性に影響する。

たとえばデスクの上に複数の仕事の書類が散乱していては、気が散るという人も少なくないだろう。

その場合、今やろうとしている仕事以外のものが目に入らないよう、片づけておく。

雑務は複数のタスクを「ながら」でもできるが(マルチタスク)、重要な仕事は一点集中、シングルタスクが基本だ。

あるいは退社する前に、翌日にやるべき最も重要な仕事に関する書類や材料をデスクの上に広げてから帰るという方法もある。

すると、翌朝出社して椅子に座ったらすぐに取り掛かることができ、メールやニュースのチェックといった朝の儀式をカットできる。(当然ながら、機密や個人情報の観点から問題ない書類に限る)

いずれにせよ、集中できるときに集中すべきタスクだけに絞ることで、時間密度はぐっと濃くすることができる。

今日やるべき重要な仕事さえ終わってしまえば、気分や他の仕事との兼ね合いなどに柔軟に合わせることも可能だろう。

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仕事が速い人はパソコンのデスクトップが静かだが、遅い人は騒がしい

仕事が速いか遅いか、つまりデキる人かそうでないかを見分ける一つの方法は、その人のパソコンのデスクトップを見てみることだ。

遅い人はパソンのデスクトップがファイルだらけで乱雑になっている。

それは自分の作ったファイルの分類や階層が構造化されていないまま放置されているということで、すなわち頭の中が構造化されていないということ。

こういう人は不器用で、要領が悪い傾向がある。

反対に、デスクトップが整理されて表示されているファイルの数が少ない人は、仕事も速い。

ではなぜこれが仕事の速さにつながるかというと、そもそも必要なファイルに素早くアクセスできる状態になっているめ、「あのファイルはどこだったかな」「確か以前、あの内容が入っている資料を作ったんだけど・・・」という事態が最小限で抑えられるからだ。

それだけではない。ファイル管理には論理的思考力が必要だという点にも仕事の速さを支える根拠となっている。

もちろん整理方法は一律ではないし、人によって違う。

案件ごとに管理している人もいれば、相手ごとに管理している人、月次や年次で管理している人もいる。

違いはあっても、特にフォルダ管理を見ると、フォルダ名とその下に格納されているファイルとの関係が、きれいなピラミッド構造になっている。

方法はどうあれ、フォルダとファイルの関係性を構造化できるということは、「○○の下に△△が紐づく」「△△が構成要素となって○○になる」というふうに整理できていることであり、これは論理思考そのものだ。

そして論理的思考力が高ければ、物事の理解や課題の分析も素早くでき、他人への説明も明快にできるなど、結果として仕事も速くこなせることにつながる。

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仕事が速い人はいかに手を抜くかを考えるが、遅い人はつねに全力投球

仕事が速い人は「手の抜きどころ」「流していいところ」をわきまえている。

というと当たり前すぎる話なのだが、それは「この仕事で結果を出すには、どこが重要か」を押さえるということだ。

だから、普段は遊んでいるように見えても、「ここが決めポイント」と思えば猛烈にダッシュする。

大事な局面ではテキパキ指示を出すが、それが終わればのんびりしている。

なぜそれがわかるかというと、つねに仕事の全体像を把握しているからだ。

全体像というのは、どのタイミングでどういうタスクが発生し、どのタイミングで何を決めるべきかということだけではなく、チームや取引先の各人の仕事のスピードや得意不得意なども含まれる。

そして全体を俯瞰したうえで、「ここの判断が後工程を決める」「ここを乗り越えればあとはラク」「これはさほど影響を与えない」などを判断しているのだ。

しかし、仕事が遅い人は、どこが重要でどこが重要でないか、あまり考えていない。

完璧主義な人もこういう傾向があり、たとえば文書であればフォントサイズやレイアウトなど、些末なことにまで全力投球する。

それで自分は満足・納得するのだが、相手や他人が特に喜ぶことはない。

つまり自己満足的な作業であって、付加価値のある作業ではないものにエネルギーをかけているということ。

もちろん、自分が新人などペーペーのときなど、すべてに全力投球をしたほうが良い場面もある。

しかし評価する人が特に気にしない部分まで力を注ぐのは非効率だろう。

力の抜きどころを考えない完璧主義の人は、手間暇はかかるにもかかわらず、成果はそれなりということが起こりやすい。

これは仕事のみならず、プライベートでも同じことが起こる。家事は必要だが、ちょっとくらい掃除をサボっても特に困らないだろう。

家事育児だけで1日が過ぎてしまうより、自分のことをやったほうが楽しいはずだ。

旅行に行ってもぎゅうぎゅうに予定を詰め込んでぐったりするより、疲れたから予定を変更して休憩しようというくらいおおらかなほうが楽しいだろう。

これもやはり、「目的」を意識し、「こうすれば楽しい」「こうすれば満足する」というポイントを把握しておくことだ。そうすれば、同じ成果でストレスも最小限になる。

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仕事が速い人はデジタルとアナログを使い分けるが、遅い人はデジタルにこだわる

デジタルガジェットで武装している人で、仕事が「デキる」つまり「稼げる」という人にお目にかかったことはない。

なぜそうなるかというと、「ツール」ありきで自分の動き方を決めているからだ。

仕事が速い人は、「この作業はどうすれば楽に速くなるか」を考え、そのソリューションにつながるツールを探し選ぶ。

しかし仕事が遅い人は、新しいツールが出たら「このツールは自分のどのシーンに使えるか」という発想をする。

もちろん、それが必ずしも良くないということではないが、無理やりツールに合わせようとしがちなので、様々な無駄を生むことになる。

たとえばかつて話題になったとおり、家電量販店に行って「インターネットください」という客がいたり、パソコンを持っていないのにウインドウズ95のディスクだけを買ったり、タブレット端末を買ったものの結局ゲームにしか使わなかったりということが起こる。

仕事が速い人の発想は、似ているようでちょっと違う。

自分の日々の活動やタスクに対して、「これ面倒だな」「これもっと簡単にならないかな」「これ自動化できないかな」という問題意識をつねに持っている。

現時点のテクノロジーでは解決できない課題だとしても、問題意識を持っているからこそ、新しいツールが出たとき「これを使えば解決できる!」とソリューションに結びつくのだ。

つまりデジタルが必ずしも業務を効率化させるということではなく、効率化につながる部分だけにデジタルを適用させるから、結果として効率化につながるということ。

以前、ITベンダーが「ペーパーレス」をコンセプトに企業のIT化を売り込んだが、現実には紙が増えてしまったようなものだ。

そして実際、私の周りの起業家でも、億の年収を稼いでいながらガラケーの人がいるし、タブレット端末も持っていない人のほうが圧倒的に多い。

私自身も、スマホは9,800円のロースペック品だし、スケジュールは紙の手帳を使っていて、クラウドサービスは一切使っていない。

最新スマホを持っても売上が上がるわけではない。

手帳は紙のほうが一覧性があり、書き込みや消し込みも一瞬でできる。

クラウドサービスは電波につながらないと使えないし、ログインやダウンロード・アップロードに時間がかかる。

結局それらを使っても、自分のパフォーマンスや成果に影響を与えないし、むしろそれらツールをいじっている時間の分だけ無駄になるからだ。

一方で、たとえば3人以上とアポイントを取るには、メールや電話では煩雑で、なかなか調整がつかない。

そこでツールを探す。そして「幹事君」というウェブツールを使えば、複数人での打ち合わせや飲み会のセッティングが極めて楽に簡単にできることがわかる。

要はツールありきではなく、自分の動きを最適にする方法は何かを考えたときにツールを適用するという発想に転換することだ。でなければ、儲かるのは供給者だけということになる。

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仕事が速い人は時間を生むものを買い、遅い人は時間を消費するものを買う

仕事が速い人は、時間を生み出すものにお金を使う。

たとえば家事の時間を節約するために、ロボット掃除機や全自動食器洗い乾燥機を買う。

移動の時間を節約するために、タクシーに乗ったり遠隔会議システムを導入する。

それで自分の時間を作り出し、やりたいこと、やるべきことをする。

そして考えたことはあるだろうか。いつからか、私たちの多くは、暇つぶしのためにお金を使う傾向が強くなっているということを。

映画やテレビを観る、ゲームをしたり漫画を読んだり、電車の中ではスマホでニュースを見るのも暇つぶし。

しかしそれらの暇つぶしには、当然お金がかかる。

スマホのゲームやニュースは無料だと言っても、高額な通信費がかかっている。

そして仕事が遅い人は、こうした暇つぶしのための支出が大好きだ。

なぜそう言えるかというと、暇つぶしをするということは、自分の時間で何をすべきか、何をしたいかという人生の方向性や戦略がないからだ。

やりたいこと、やるべきことが明確であれば、暇つぶしをしている暇なんてない。何かにそれは当然、仕事にも反映される。

デートや旅行といった、大切な人と同じ時間と空間を共有するという目的がある場合はともかく、私たちは時間とお金の両方を失うように仕向けられているかもしれない、ということに、もう少し敏感になっておきたい。

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仕事が速い人は長期スパンで考えるが、遅い人は目の前のことで右往左往する

自分の人生を変えるには、いったいどのくらいの時間が必要だろうか。

たとえばわかりやすいところでは、大学院に進学して2年、公認会計士や司法試験などの難関国家資格では5年くらいだろうか。

語学をマスターするのには約3年、デザインやプログラミングなど、専修学校に通って技術を身に着けるには2年ほどか。

つまり、短くて2年、長くても5年何かに取り組めば、キャリアチェンジやステップアップなど、人生のターニングポイントを自らの手で創造することができるというとだ。

そして仮に人間の寿命を80年としたとき、あなたにはあと何年の余生が残されているだろうか。

仮に今30歳なら、あと50年ある。定年退職したばかりの65歳であっても、あと15年ある。

そう考えると、今年の年収がいくらとか、受験や仕事で失敗したなどというは極めて短視眼的な発想であり、逆転するには十分すぎるほどの時間があると思わないだろうか。

しかし、仕事が遅い人に限って目の前の出来事に右往左往し、周囲が目に入らなくなる。

仕事でも成果を焦り、すぐに結果が出ないとガマンできない。

だからひとつの失敗でクヨクヨする。昇進や昇給で後れを取ると焦る。

ビジネス書やビジネス系セミナーなどでも同じで、彼らはすぐできてすぐ成果が出るノウハウやテクニックを欲しがり、ありがたがる。

なぜかというと、彼らは抽象化思考が苦手だからだ。

抽象化思考とは、具体的な言葉や事象を抽象的にイメージすることだ。

たとえばプリウスと言えばハイブリッドカー、ハイブリッドカーと言えば自動車、自動車と言えば乗り物、というふうに、より上位概念に引き上げられる能力のことを言う。

仕事が速い人はこの能力に長けている。

たとえばある仕事で失敗しても、そこから教訓を引き出し、次に同じような場面に遭遇すれば、その経験を生かせばよいと考える。

あるいはビジネス書やビジネス系セミナーに行っても、「このノウハウを自分の状況に適用するにはどう変えればよいか」「そのテクニックの背景にある考え方は何か」と一段階抽象化して捉えることができる。だから知識や情報が自分の血肉になる。

これは人生設計についても同じで、冒頭の発想に戻るが、現時点での自分の状況も大局的に考えれば、さざ波のひとつに過ぎないことがわかる。

だから仕事が速い人は、困ったこと、悩みごと、不安なことなどがあったとしても、立ち止まることなく淡々とタスクをこなしていける。

あるいは、もっと長期にわたって想像するとどうだろうか。

たとえば、自分の時間を大事にしたいからあえて子どもはつくらないと言っていた人が、老後は身寄りのいない独居老人となり、さびしく余生を過ごしているという報道番組を見たことがある。

体が元気で働けるうちは自由を謳歌していたが、自分が働けない年齢に達したとき、自分の両親はすでに他界し、配偶者がこの世を去り、兄弟も高齢で、ほぼ天涯孤独な人生に後悔しているという内容だった。

そんな状況になるのを防ぐためにも、「これを一段高い視点に立って考えると何が言えるか、何が想定されるか」というふうに、つねに抽象的に発想する姿勢を忘れないようにしたい。

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『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』

著者/午堂登紀雄
フリー・キャピタリストとは、時代を洞察し、自分の労働力や居住地に依存しないマルチな収入源を作り、国家や企業のリスクからフリーとなった人です。どんな状況でも自分と家族を守れる、頭の使い方・考え方・具体的方法論を紹介。
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出典元:まぐまぐニュース!