日本だけでなく世界中の多くの国で、星を「☆」マークで表現します。よく考えれば球体の星をなぜ多角形で表現するのかという素朴な疑問は、科学的に完璧に説明できるという解説ムービーが公開されています。

Why are Stars Star-Shaped? - YouTube

多くの人が星を「☆」と表現します。



五芒星でなくても、先端がとがったギザギザマークで表現されることが多い星。



しかし、天体の星は球形。



さらに銀河に浮かぶ多くの星は、点にしか見えないはず。



それなのに、☆と描くのはなぜなのでしょうか?



それは私たちが星を「点」として見るから。



ちょっと実験してみましょう。ムービーを最大画面にして、できれば片目でリラックスした状態で見てみてください。



こんな感じに見えないでしょうか?



星がこんな風に見られるのは人間だけに限られません。



これは天体望遠鏡で撮影した星。やっぱりギザギザととがっています。



その原因は光が「波」だから。



波である光がごく小さな穴を通り抜けたり、障害物に当たったりするときに、波が物体を回り込む「回折」という現象が起こります。



人は、回折した波の状態のままの光が網膜に写し出され、「見える」と感じるのです。



もしも縦スリットや極めて細い物体ごしに光をのぞいたとすると……



光の回折によって、縞模様(ここでは破線状)に光は広がって見えます。



もしもスリットが十字に交差しているならば、交点からの光はこんな感じに見えるはず。



穴が円状ならば、こんな感じ。



穴が正方形ならこんな感じ。



穴が六角形ならこんな感じ。



スリットが2本ならばこんな感じ。



一押しはこの複雑なスリット。スリットを通る光は右のように美しい回折図形を描きます。



つまり、小さな点のような光は……



通った穴や回り込んだ物体によって、独特の回折パターンを描くということです。



宇宙から星を観測するハッブル宇宙望遠鏡の場合……



第2鏡を固定する支柱が十字に延びています。



ハッブル宇宙望遠鏡の場合、十字の回折パターンになるはず……。



実際にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真を見ると、確かに星は十字の回折パターンが確認できます。



一般的なカメラで撮影した光も、レンズの回折による影響を受けています。



では人間の目はどうでしょうか?



目のレンズにあたる水晶体の中に縫合線と呼ばれる筋があります。



この縫合線を光が回折すると、右のようなパターンになります。



つまり、この縫合線による光の回折によって、小さな点である星は☆に見えるというわけです。



ちなみに人間の目の縫合線は人それぞれ固有の物。



左右の目でも縫合線は異なるので、星を見るときに片方ずつ目を変えて見ると、星の形が違って見えるかもしれません。



だから、大小の違いはあっても星はすべて同じ形に見えるのが正解。さまざまな形で星を描くのは科学的には間違いということになります。



ちなみに波長の長い赤色の光の方が波長の短い紫色よりも大きく回折するので……



これらの異なる波長の光は、こんな感じで虹色の光になります。



ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した星を注意深く見ると、星の光の中に小さな虹を見つけられるはずです。



というわけで、科学的に星を描くとこんな感じになります。