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「アリさんマーク」で知られる引越社のグループ会社「引越社関東」で営業職をしていた男性が、労働組合に加入したのをきっかけに、机もイスもない「シュレッダー係」への異動を命じられてから、7カ月以上がすぎた。男性が所属する労働組合「プレカリアートユニオン」は、引越社関東の対応が「不当労働行為」にあたるとして、東京都労働委員会に救済を申し立てていたが、そこでの和解協議が決裂し、争議を再開したことがわかった。

●労働組合に加入したあと、営業職から外された

男性は昨年3月、未払い残業代などを請求するためユニオンに加入し、団体交渉を申し入れたところ、5月に本社の「アポイント部」に配置転換された。そこで、ユニオンは6月、「労働組合への加入をきっかけに男性を営業職から外したのは不当労働行為だ」として、男性を営業職へ戻すことや正当な賃金の支払いなどを求めて、東京都労働委員会に救済を申し立てた。すると、引越社関東は、男性が遅刻したことを理由に「シュレッダー係」にした。

男性は翌7月、東京地裁に、シュレッダー係への異動命令を無効とする地位確認訴訟を起こした。その一方で、東京都労働委員会では、和解に向けた協議が進められた。ユニオンは、和解の条件として、男性を営業職に戻すことや未払い残業代の支払いなどを求めていた。また、男性は昨年8月に会社から懲戒解雇を言い渡されたが(2カ月後に撤回)、その際、社内に名誉毀損の張り紙をされたとして、会社が謝罪・撤回することを求めていた。

しかし、会社は一部の要求については応じる姿勢を見せたものの、全般的にユニオンの要求には応じず、和解協議は決裂した。ユニオンは2月2日、ブログで争議を再開したことを明らかにした。また、2月1日には、会社前で抗議活動を行う様子を撮影した動画をYoutubeで公開した。

ユニオンは、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、次のように決裂の理由を説明した。

「早期和解を前提に、裁判であれば当然支払いが命じられる金額よりも、かなり譲歩した提案をしていました。天引きした金額と弁償金については返還するような水準でしたが、全体的な水準として全く折り合わなかった。会社側の条件では、到底合意できません」

一方、引越社関東は和解協議が決裂した理由について、「東京都労働委員会で提示された和解案に、プレカリアートユニオンさん側が一切応じなかったため、決裂した」としている。今後の対応については、「和解ができていない状態なので、一切お答えできない」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)