上坂すみれワールドへようこそ♥ 生粋のサブカル女子にノックアウトされちゃえ♥
ロシア文化とサブカルチャーをこよなく愛し、ファンを“同志”と呼び、ライブイベントを“決起集会”と銘打つ――個性派声優として活躍の幅を広げている上坂すみれに初接近。周囲に馴染めず戸惑っていたという子役時代を経て、自分の居場所を見つけ、美しく輝き始めた彼女が、待望の2ndアルバム『20世紀の逆襲』を2016年1月6日にリリースする。2年ぶりとなるアルバムに込められた思いとは? 歌手としての成長や、謎多きプライベートについても余すことなく語ってくれた。

撮影/藤沢大祐 取材・文/花村扶美 ヘア&メーク/角本彩香

桃井はるこさんとの衝撃的な出会い



――9歳のとき、英検受験の帰りにスカウトされたのが、芸能界に入ったキッカケなんですよね。

はい、でも私自身はあまり表に出るタイプでもなかったので、中学くらいまでは所属しているということをあまり意識せず過ごしていたように思います。

――学校でも目立たない子だったんですか?

マンガを描いているか、水槽を洗っているか…。

――水槽を洗うっていうのは、飼育係だったとか?

いえ、美化委員です(笑)。係や委員を決めるとき、みんながやらないことをひっそりと請け負うタイプでした。

――家に帰ったら何をして過ごしていたんですか?

ひとりっ子だったので犬と戯れたり、パソコンが家に来てからは、パソコンをやったりすることが多かったですね。

――ちょうどWindows98が発売された頃ですよね。パソコンでは何をして遊んでいたんですか?

最初はマウスゲームや「Yahoo!きっず」という子ども向けのポータルサイトで遊んでいました。それが気づいたら、お絵かきBBSとか2ちゃんねるとか、いろいろな掲示板にたどり着いて。ブラクラ(ブラウザークラッシャー)を踏んじゃったことも(笑)。

――そんな幼少時代を過ごしていた上坂さんが声優のお仕事に興味を持ったのは、中学のときにアニメ『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』で、桃井はるこさんの声と出会ったからなんですよね。

とにかく誰が聞いても可愛い声。本当に小麦ちゃんがしゃべってるんだって思わせる声で、声優さんってどんな姿をしてるんだろう? 二次元みたいなものじゃないかって思ってました(笑)。



――実際に桃井さんとお会いできましたか?

はい! 私のラジオ番組にゲストで来てくださったり、あとドラマCDでも共演させていただきました!

――直接お会いしてみていかがでしたか?

自分のなかでは、ああ言おうこう言おうとかいろいろ考えてたんですけど、実際に会ってみると、お渡し会に行って何もしゃべれない人みたいな(笑)。「あっ…いつも、本当、応援してます…」ってボソボソと、あまり目も見れずに…。

――(笑)。桃井さんからは何て声をかけられました?

「小麦ちゃんのことを好きでいてくれてありがとう」と言ってくださいました。桃井さんは本当に気さくな方で、ますます好きになりました。

80年代の音楽に夢中になって



――上坂さんも19歳のときに声優部に所属し、その後、歌手デビューも果たされましたが、もともと歌うことが好きだったんですか?

音楽を聴くのは大好きで、CDはいろいろコレクションしてるんですが、自分が歌うことはなかったですね。なので、デビューが決まった当初はポカンという感じでした(笑)。

――当時はどんなCDを集めていたんですか?

筋肉少女隊、戸川純さん、ハルメンズ、人間椅子、…あとはテクノポップやジューダス・プリースト、モトリー・クルーなどメタルロックも聴いてました。

――渋いですね! まわりには聴いている友だちがいなかったのでは?

おっしゃる通り、いなかったですね。でも、友だちと音楽の話をして盛り上がるというよりも、家に帰って趣味に没頭することに忙しかったので、あまり気にならなかったです(笑)。

――昔の曲に興味を持ったキッカケは何だったんでしょう?

お家に昭和ヒットソング集やディスコ、ユーロビートのCDがあったので、それを聴いたのが最初でしたね。最新のヒット曲よりも私には、昔の曲のほうが馴染みやすかったんだと思います。それで中森明菜さんが好きになって、80年代の音楽を探すようになったのがキッカケです。

――上坂さんは生まれていない時代ですよね。

もし私がその時代に生まれていたら、また違う時代の音楽に興味を惹かれていたかもしれないですね(笑)。



こだわり抜いたサブタイトル



――2016年1月6日に2ndアルバム『20世紀の逆襲』が発売になります。アルバムタイトルを決めたいきさつを教えてください。

「レコーディング前にタイトルを決めましょう」ということになり、「何か入れたい単語はありますか?」と聞かれたんですね。それで、「20世紀」という単語が壮大でいいなと思ったのでお願いしたら、プロデューサーさんが「〜の逆襲」と付けてくださいました。

――新曲にアルバムタイトルと同名の『20世紀の逆襲』3部作が収録されているのも、注目すべきところですが、3部作を聴いた感想はいかがでしたか?

まず、私以外の声優さんは歌わないような曲だなと思いました(笑)。『パララックス・ビュー』以降のカップリング曲も全曲入っているんですけど、3部作が入っているおかげで、一本筋が通っているような気がします。

――そうですね。あと、3部作それぞれのサブタイトルが、上坂さんらしいなと。「紅蓮の道」とか「蠱惑の牙」とか。

実は、最初は違ったサブタイトルがついていたんです。でも、もうちょっと難解なものにしたいなと思って。

――難しくて読めません(笑)。

ふふ…(笑)。私がいろいろ意見を言うのもおこがましいと思いながらも、テーマを膨らませて自分で考え、提案させていただきました。

――レコーディングはスムーズに進みましたか?

プロのスタッフさんがいらっしゃるので、私は一生懸命歌うだけです。スタッフさんが「録れました」と言ってくだされば、無事に録れたんだなという感じで(笑)。



――今回のジャケ写は、美樹本晴彦氏、丸尾末広氏、BAHI JD氏の描き下ろしイラストになっていますが、みなさん、上坂さんの憧れの方たちですね。

そうなんです…私からイラストをお願いしたわけではないです。自分からは恐れ多くてお願いできないのですが、スタッフさんが私の気持ちをくみ取ってくれて…。

――デザインがあがってきてどう思いましたか?

いやぁ…もう本当にうれしいです。一体、スタッフさんはどんな交渉をしてくださったんでしょうか。もし私がレコード会社に勤めていても、こんなことは実現できなかったと思います(笑)。

――ちなみに、声優としても歌手としても喉のケアが重要だと思うんですが、レコーディング前に特別にやっていることってあるんですか?

レコーディングの前だからっていうわけではなく、軽いストレッチとかは習慣的にやっています。朝起きてすぐ現場に行っても声が出ないので、家で少し発声しておくとか。寝る前にはマヌカハニーという抗菌力のあるハチミツをお湯に溶かして飲んだりしています。