10月8日に行なわれたオマーン戦で、イランは単純に放り込まずに目先を変えるトリックプレーも交えていた。日本戦でもバリエーション豊富なセットプレーを用意してくる可能性は高く、マーキングを入念に整理しておかなければ失点のリスクは高まるだろう。
 
 吉田も「前線に何人か良い選手がいますし、フルアムでやっていた選手もいるので、中東のなかではレベルが高いと思う。今まで以上に守備はコレクティブにやっていかなければいけないし、オーガナイズしていかなければいけない」と勝敗を分けるひとつのポイントと見ているようだ。
 前述のとおり、イランは今までの2次予選の相手とはひと味違う。「オマーン戦を見ましたけど、個々の能力はやっぱりシリアとかよりも高い」(香川)と攻撃・守備ともに個の力のある選手を揃え、組織レベルも雲泥の差がある。
 
 本田や香川をはじめとする攻撃陣も警戒を強める。香川は崩しのイメージを次のように話している。
「中央で普通に競り合っても勝てないので、工夫しなければいけない。ロングボールだけでは厳しいので、しっかり足もとで(回す)。そういう意味では、動き出しの準備や質を、この前(シリア戦)よりもさらに上げて良い駆け引きをしていきたいです」
 
 シリア戦の前半は選手同士の距離が遠く、パスが相手のプレスに引っかかる場面が少なくなかった。そうした「選手の距離感」(本田)はこの試合でもテーマのひとつで、「ちょっとした精度を上げていくとか、ちょっとした距離感を縮めていく」(本田)という修正ができているかは見ものだ。
 
 いずれにせよ、「8万人の中で国際試合をする経験はなかなかできない」(香川)という強豪とのアウェー戦では、今まで隠れていた様々な問題点が出てくるだろう。日本は「しっかりと勝ちきる」(香川)試合をして自信を得たうえで、それらの課題の解消に向き合っていきたい。
 
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェストWeb)