舞台『K』第二章-AROUSAL OF KING- 松田凌&荒牧慶彦対談「約束を果たすときが来た」
初日目前の舞台『K』第二章‐AROUSAL OF KING‐から、シロこと伊佐那社を演じる座長の松田凌と、シロを支える存在であるクロこと夜刀神拘朗役の荒牧慶彦が登場。初演から積み上げてきたふたりの関係を始め、2.5次元舞台に立つ喜びと難しさ、より進化した舞台『K』第二章の魅力について語ってもらった。

撮影/岡本武志 取材・文/大野奈緒美
ヘア&メーク/大坪真人

クロはマッキー以外にありえない



――舞台『K』第二章の初日が間近に迫った今、どんな気持ちでいますか?

松田 決定していなかった次の公演の予告が、初演のラストシーンだったので、その約束がようやく果たせるなというのが一番強いです。
荒牧 僕自身も第二章が上演される日をずっと待っていました。早くお客さんに見せたいって気持ちで、心がざわついてます(笑)。



―― またやりたいと強く感じる、その理由はどこにあるんでしょう?

松田 僕が演じる伊佐那社(シロ)は主役らしくない主役と言うか(笑)、物語の大きな鍵を握っている役ではあるけれど、その鍵穴を彼が見つけるまでの過程を他のキャラクターを通して描いているのが、この作品なんですね。
荒牧 そうだね。登場人物同士のあいだにそれぞれ関係があり、そのなかで謎が解き明かされることによって、シロが≪王≫だと判明していく群像劇になってる。
松田 ただ、僕個人としては≪王≫になったシロを演じて初めて、「伊佐那社を演じました」と言い切れると思うので。だから、シロが≪王≫になる第二章を演じることに誰よりも気合いが入ってます。

――荒牧さんが夜刀神拘朗(クロ)を再び演じたいと思うのはなぜでしょう?

荒牧 クロは、最初はシロを殺すために現れるんですが、行動を共にするなかでこの作品のテーマでもある“絆”が芽生え、シロを殺したくないという感情を持ち始める。さらに第二章ではシロを守る存在から仕える立場へと、関係が逆転するんです。
松田 シロが≪王≫として覚醒することによって。
荒牧 それまでは先代の≪無色の王≫の遺言に従って行動していたクロが、自分が仕えるべき≪王≫を自分自身で見極める。そんなクロの成長物語を完結させたいと思ってます。

――1年ぶりの共演ですが、稽古場で会った瞬間はどんな感じでしたか?

荒牧 凌とはプライベートでごはん食べに行ったり、お互いの舞台を観に行ったりして、ちょくちょく会っていたので。
松田 久しぶりって感覚はなかったよな?

――1年ぶりにふたりでシロとクロを演じることに関しては、特別な感情がわきましたか?

荒牧 まず感じたのは、凌がいる安心感ですね。初演のときに得た“ふたりでいることの心地良さ”がよみがえってきて、ホッとできる…みたいな。
松田 僕は自分がシロを演じるなら、クロはマッキーしかありえないと思ってるんですよ。
荒牧 おっ!(笑)
松田 さっきマッキーが言ったように、前作でのシロはクロに守られる立場だった。僕は最初、そこにジレンマを感じていたんですね。自分も殺陣をやりたいと思ったし、正直、マッキーはいいなぁって嫉妬する部分もあって。



――殺陣という見せ場のある荒牧さんが羨ましいな、と?

松田 でも、稽古を重ねるうちに、この人がクロを演じるなら自分は前に出なくていい、シロを全うしようと素直に思えたんです。というのは、シロを守るマッキーのお芝居が、本当にステキだったからなんですね。
荒牧 いやいや(照)。
松田 なので、またマッキーと一緒にお芝居ができるのはすごくうれしいです。

――そんななか第二章からはシロとクロと行動を共にするネコ役に、新キャストとして楠本あずささんが加わりました。

荒牧 あずさちゃんは、すごく頑張り屋さんで、僕らのことも気遣ってくれて。
松田 そう! でもネコという役は自由奔放だから、芝居を離れた場面でもネコと同じように、もっと自由に、ワガママにふるまってくれていいんじゃないかとも思っていて。
荒牧 そのほうがお芝居も、より自由に演じることができるかもしれないね。
松田 本番までに、そういう3人の関係性を作り上げたいです。