STAP細胞事件を追った『捏造の科学者』(文藝春秋社)が、ベストセラーとなっている。2014年末の発売ながら早くも大増刷して8万部を突破、「本が売れない」といわれる状況のなか、快挙といっていい。確かに売れる条件は揃っている。誰もが知っているSTAP細胞、主役を演じた小保方晴子・理化学研究所元研究ユニットリーダーの個性、その上司で再生医療研究の第一人者である笹井芳樹氏の自殺……。本稿ではこの著作の意義に